2025年度青森学力検査問題過去問【社会】

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■大問１

１-１：1 下の略地図や資料を見て、次の⑴～⑷に答えなさい。
略地図1,2

(1)略地図1,2中のXに共通してあてはまる海洋を何というか、書きなさい。

解答 ： 大西洋

解説 ： 略地図1は北アメリカ大陸の一部を示しており、Xはアメリカ合衆国の東側にあります。略地図2はヨーロッパと北アフリカの一部を示しており、Xはフランスやスペインの西側にあります。
アメリカ合衆国の東海岸と、ヨーロッパの西海岸に共通して面している大きな海域は大西洋です。
したがって、Xに共通する海洋は大西洋です。

１-２ア：(2)略地図1について、次のア、イに答えなさい。
ア略地図1中の（斜線部分）で表された州の人口構成について述べた下の文中の「」にあてはまる語を書きなさい。
これらの州では、メキシコや中央アメリカ、西インド諸島の国々から移住し、スペイン語を話す、「」とよばれる人々が20%以上を占めている。

解答 ： ヒスパニック

解説 ： 略地図1の斜線部分は、主にアメリカ合衆国の南西部から南部にかけての州のカリフォルニア州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州などを示しています。
この地域には、メキシコや中南米のスペイン語圏の国々から移住してきた人々が多く住んでおり、彼らはまとめてヒスパニックと呼ばれます。

１-２イ：イ略地図1中の都市Yの郊外には、アジア系やヨーロッパ系の人々などさまざまな国籍をもつ優秀な人材が集まるICT関連企業が集中している地区がある。この地区は何とよばれているか、書きなさい。

解答 ： シリコンバレー

解説 ： 都市Yは、略地図1からサンフランシスコまたはその近郊を指していると考えられ、この地域は、特に半導体産業（シリコン）とIT産業が集積していることで世界的に知られています。したがって、都市Yの郊外はアジア系やヨーロッパ系など多様な国籍の優秀な人材が集まるICT関連企業が集中していおり、シリコンバレーとよばれています。

１-３ア：(3)略地図2について、次のア、イに答えなさい。
ア資料1は、スペインやイタリアの食事には欠かせない、ある農産物の生産量上位3か国を表している。この農産物として適切なものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
資料1

1 オリーブ 2 トマト 3 小麦 4 オレンジ

解答 ： 1

解説 ： スペイン、イタリア、チュニジアなどが含まれる地域で広く栽培され、食事に欠かせない主要な農産物、特にオリーブオイルの原料となるのはオリーブです。

１-４：(4) 資料3は、カナダ、アメリカ、フランス、ドイツ、日本の発電 エネルギー源別割合を、総発電量の多い国の順に並べたものを表している。アメリカとドイツについて表しているものを、資料3 中の1~5の中から一つずつ選び、その番号を書きなさい。
資料3

解答 ： アメリカ：１　ドイツ：4

解説 ：
・アメリカの特徴
総発電量が最も多い1か2のどちらかです。
火力 60.8%、原子力 18.6%。この「火力と原子力が中心」という構成は、巨大な総発電量と合わせてアメリカの特徴と一致します。

・ドイツの特徴
ドイツは再生可能エネルギーの導入が非常に進んでいます。
4は再生可能エネルギーが37.3%と、5か国の中で群を抜いて高く、火力（46.7%）と並んで大きな柱となっています。この構成は、ドイツのエネルギー政策（脱原子力・再エネ推進）を強く反映しています。

■大問２

２-１ア：2 下の略地図や資料を見て、次の(1)~(3)に答えなさい。
略地図1,2

(1)略地図1について、次のア〜ウに答えなさい。
ア標高3000m前後の飛騨山脈,木曽山脈、赤石山脈をまとめて何とよぶか、書きなさい。

解答 ： 日本アルプス

解説 ： 略地図1に示されている、標高3,000m前後の飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈の3つの山脈をまとめて、日本アルプスと呼びます。

２-１イ：イ資料1は、略地図1中のX付近に見られる地形を表している。資料1つにいて述べた下の文章中のⅠに共通してあてはまる語を書きなさい。また、Ⅱに入る適切な内容を書きなさい。
資料1から読み取ることができる地形は I である。 X付近では、昼と夜の気温差が大きいこと、日当たりが良いこと、また、I の特徴であるⅡ ことを生かした、 ぶどうやももなどの果樹栽培が盛んである。

解答 ： Ⅰ：扇状地　Ⅱ：（例）水はけが良い

解説 ： ※資料1が掲載されていないため、省略します。

２-１ウ：ウ資料2は、略地図1中の都市A~Dのいずれかの雨温図を表している。資料2（グラフ：年平均気温13.9℃、年降水量2837mm。冬に降水量が多いが、夏も比較的多い。気温は冬場に0℃を下回る月がある）はどの都市の雨温図か、A~Dの中から一つ選び、その記号 を書きなさい。
資料2

解答 ： A

解説 ： 資料2の「冬に降水量が極めて多い」というパターンは、本州の日本海側気候の最も顕著な特徴です。 略地図1で日本海側に位置するA（金沢市付近）が、この多雨多雪な気候を最もよく表しています。

２-２ア：(2)略地図2について、次のア、イに答えなさい。
ア オホーツク海沿岸について述べた下の文中の■に共通してあてはまる語を書きなさい。
冬は北から ■が流れてくるために漁業はできないが、■により海水の栄養分がかき混ぜられ、豊かな漁場になると考えられている。

解答 ： 流水

解説 ： ★オホーツク海沿岸の特徴
冬の漁業停止:オホーツク海では、冬になると北から流氷がやってきて海面を覆い尽くします。船が出せなくなるため、冬の間は漁業ができなくなります。
豊かな漁場となる理由:流氷が運んできた栄養分や、流氷が溶けるときに水が混ざり合うことで、海の底の栄養分が表面に上がってきます。これが、春以降にプランクトンを大量に発生させ、世界でも有数の豊かな漁場を作る原因となります。

２-２イ：イ資料3は、北見市、別海町,帯広市, 新篠津村の米、麦類、豆類,野菜,乳用牛の産出額を表している。資料3中の 1~4のうち、別海町を表しているもの を一つ選び、その番号を書きなさい。
資料3

解答 ： 2

解説 ： 別海町は、略地図2の北海道東部に位置し、根釧台地と呼ばれる冷涼で湿潤な地域にあります。
★別海町の農業の特徴
酪農の圧倒的な中心地: 寒冷な気候と広大な牧草地を利用した酪農が基幹産業であり、乳用牛の産出額が非常に大きくなります。
米作は不適: 冷涼なため、米作には適していません。
畑作の産出額は小さい: 畑作も行われますが、その規模は酪農に比べると圧倒的に小さいです。

２-３：(3) 次の1~4は、北海道、青森県、千葉県、静岡県のいずれかの就業者数と産業別就業者割合を表している。北海道と静岡県について表しているものを一つずつ選び、その番号を書きなさい。
選択肢

解答 ： 北海道：4　静岡県：3

解説 ： 人口が多いほど、就業者数は大きくなります。千葉・北海道・静岡は多く、青森は少ないです。
また、第1次産業の割合（農業・漁業）については、北海道は酪農・漁業が盛んなため、最も高いと予想されます。
そして、第2次産業の割合（製造業）では、静岡県は工業が盛んなため、最も高いと予想されます。

■大問３

３-１：3 下の表と会話は、ある班が古代から近世までの宗教や文化をまとめ、それを基に江戸時代の学問について話し合っている様子を表している。次の(1)~ (6) に答えなさい。
表

Aさん:私は、徳川綱吉の時代に、朱子学が広く学ばれた理由について調べてみたいな。
Bさん:私は、18世紀以降、仏教や儒学が伝わる以前の日本人の考え方を明らかにしようとする国学が 盛んになっていくことに興味があるよ。
Cさん:18世紀後半、(お)が「古事記伝」を著し、国学を大成したと授業で学習したね。
Dさん:その国学が、天皇を尊ぶ思想と結び付き、幕末の(か)尊王攘夷運動にどのような影響を与えた のかを考察することも面白そうだね。
(1) (あ)にあてはまる天皇は誰か、書きなさい。

解答 ： 聖武[天皇]

解説 ： 表の奈良時代に関する記述は「東大寺を建てて金銅の大仏を造らせる。」であり、これは聖武天皇の行った政策です。

３-２：(2) 資料1は、下線部いの正倉院宝物についてまとめた ものである。資料1中の■にあてはまる語を書きなさい。
資料1
唐は、遠く西アジアやインドとの交流が盛んであったため、その影響を受けた天平 文化も国際色豊かな文化であった。それを代表するのが、東大寺の正倉院に伝わる宝 物である。遣唐使が唐から持ち帰り、正倉院 に残されていたものの中には、■とよばれる道を通って西アジアやインドから伝わったものもある。

解答 ： シルクロード（絹の道）

解説 ： シルクロードは、唐と西アジアやインドを結び、さまざまな文化や物資が交換された陸上の交易路の総称です。正倉院の宝物には、この道を通って伝わった国際色豊かな品々が含まれています。

３-３：(3)(う)にあてはまる中国の王朝名として適切なものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1元 2隋 3 宋 4明

解答 ： 3

解説 ： 鎌倉時代に東大寺南大門などの再建に用いられた、力強く雄大な新しい建築様式は大仏様または天竺様と呼ばれます。この様式は、宋の仏教建築の影響を強く受けたものです。

３-４：(4) 資料2は、下線部うの時期に出されたキリスト教に対する政策の一部を要約したものである。この政策が出された時期として適切なものを、右の年表中の1~5の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
資料2
一：日本は神国であるから、キリスト教国が邪教（キリスト教）を伝え広めるのは、けしからぬことである。
一：土地の人々をキリスト教にし、神社や寺を破壊するのは、もってのほかである。
一：バテレン（宣教師）を日本に置いておくことはできない。今日から20日以内に準備して帰国するように。
一：ポルトガル船は、商売のために来ているので、バテレン追放とは別である。今後も商売をしに来るように。
年表

解答 ： 2

解説 ： 資料2は、豊臣秀吉によって出されたバテレン追放令の内容を要約したものです。この政策は、キリスト教の布教を禁じ、宣教師（バテレン）に国外退去を命じたものです。
バテレン追放令の発布年は1587年です。1587年は、本能寺の変（1582年）の後、文禄の役（1592年）の前にあたります。

３-５：(5) (お)にあてはまる人物名を書きなさい。

解答 ： 本居宣長

解説 ： 『古事記伝（こじきでん）』を完成させ、国学を大成した人物は本居宣長です。

３-６：(6) 下線部かについて述べた下の文章中の■に入る適切な内容を、朝廷という語を用いて書きなさい。
幕府の大老井伊直弼が■ことを大きなきっかけとして、幕府の政策を批判する尊王攘夷運動が盛んになった。運動が高まる中で、安政の大獄に反発した元水戸藩士たちが 桜田門外の変を起こしたり、長州藩が関門海峡を通る外国船を砲撃したりした。

解答 ： （例）朝廷の許可を得ずに通商条約を結んだ

解説 ： 幕末、外国との間で条約を結ぶ際、江戸幕府の大老である井伊直弼は、京都の天皇や公家がいる朝廷の許可を得る手続きをせずに、アメリカと日米修好通商条約を結びました。
「尊王攘夷」を唱える人々は、「天皇の許可なしに重要な条約を結ぶとは、幕府は天皇を軽視している」と激しく批判しました。これが尊王攘夷運動が激化する最大のきっかけとなりました。

■大問４

４-１：4 下の図は、ある生徒が日本の経済に影響を与えた出来事についてまとめたものである。次の (1)~(6)に答えなさい。
図

(1) 傍線部あで得た賠償金を基に現在の福岡県に建設され、1901年に操業を開始した官営の工場 は何か、書きなさい。

解答 ： 八幡製鉄所

解説 ： 傍線部あは日清戦争を指しており、この戦争で日本は清から巨額の賠償金を得ました。この賠償金を主な財源として現在の福岡県に建設され、1901年に操業を開始した官営の工場は、八幡製鉄所です。

４-２：(2) 傍線部うが日本の経済に与えた影響について、右の資料は、1914年と1919年の産業別 生産額の割合を表している。資料の内容や当時の産業について述べた下の文I 、Ⅱの正誤の 組み合わせとして適切なものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
資料

Ⅰ1914年から1919年にかけて、農業の生産額は減少している。
Ⅱ1914年から1919年の間に工業では、紡績業に加え、鉄鋼や造船などの重化学工業が発達した。
1 I-正Ⅱ-正 21-正Ⅱ-誤 3 I誤Ⅱ-正 4 I誤Ⅱ-誤

解答 ： 3

解説 ： Ⅰ：
資料より、1914年の農業の生産額は、生産総額 30.9億円 × 農業の割合 45.4%≈14億円で、1919年では、生産総額 118.7億円 × 農業の割合 35.1%≈42億円です。
よって、農業の生産額は、14億円から42億円へと大きく増えています。
したがって、「減少している」は誤りです。

Ⅱ：
第一次世界大戦中は、ヨーロッパが戦争で忙しくなったため、日本がアジアや世界へ製品を輸出するチャンスが大幅に増えました。この好景気により、今まで中心だった軽工業だけでなく、鉄鋼や造船などの重化学工業が急速に発達しました。これは、日本経済が大きく成長した要因です。 したがって、記述は当時の日本の産業の状況として正しい。

４-３：(3) (う)から第一次世界大戦に参戦するまでの時期に見られた日本の社会の様子について述べた文として適切でないものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 吉野作造や美濃部達吉の主張が、デモクラシーの思想を広げるうえで大きな役割を果たした。
2 京都で全国水平社が結成され、差別からの解放を目指す運動は全国に広がっていった。
3 都市ではバスガールが登場するなど働く女性が増加した。
4 「三種の神器」とよばれたテレビ・洗濯機・冷蔵庫が普及した。

解答 ： 4

解説 ： 傍線部「うから第一次世界大戦に参戦するまで」は、日清戦争後（1895年）から第一次世界大戦参戦（1914年）までの約20年間、つまり主に明治時代後期から大正時代初期にあたります。「三種の神器」の普及は、太平洋戦争が終わったずっと後の出来事です。うの時期は約40年も離れており、生活レベルが全く異なります。

４-４：(4) (え)から世界恐慌が起こるまでの時期に起こった、次の1~3の出来事を年代の古い順に並べ、その番号を書きなさい。
1 ローズベルト大統領の下、アメリカでニューディールという政策が始まった。
2 ヒトラーに率いられたナチス・ドイツが、ポーランドに侵攻した。
3 アメリカのよびかけでワシントン会議が開かれ、海軍の軍備が制限された。

解答 ： 3→1→2

解説 ：
1ローズベルト大統領の下、アメリカでニューディールという政策が始まった。
→年代: 1933年（世界恐慌後）

2ヒトラーに率いられたナチス・ドイツが、ポーランドに侵攻した。
→年代: 1939年（第二次世界大戦勃発。世界恐慌後）

3アメリカのよびかけでワシントン会議が開かれ、海軍の軍備が制限された。
→年代: 1921年～1922年（第一次世界大戦後、世界恐慌前）

４-５：(5) 傍線部えのあとの戦後改革として行われたことについて述べた下の文中の■にあては まる語を書きなさい。
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ) の占領政策の基本方針により、経済を民主化する ために、日本の経済を支配してきた■が解体された。

解答 ： 財閥

解説 ： 太平洋戦争後のGHQによる占領政策では、日本の軍国主義の温床とみなされた勢力を排除し、国を民主化することが基本方針でした。その一つが経済の民主化であり、少数の巨大な企業集団が日本の経済を支配していた状態を改めるために、三井、三菱、住友などの財閥が解体されました。

４-６：(6) 傍線部かは日本の経済にどのような影響を与えたか、軍需物資という語を用いて書きなさい。

解答 ： （例）アメリカ軍向けに大量の軍師物資が生産されたため、経済が好況になった。

解説 ： 朝鮮戦争が始まると、日本は国連軍やアメリカ軍に対する軍需物資の生産拠点となり、軍事的な需要な大量の物資やサービスが発生しました。これにより、日本の工業生産は一気に回復し、特需景気が起こりました。

■大問５

５-１ア：5 下のA~Dは、ある生徒が司法について学習した内容をまとめたものである。次の(1)~(5)に答えなさい。
A あ三審制：裁判を慎重に行って間違った判決を防ぎ、人権を守るために、一つの内容について3回まで裁判が受けられる。
B 刑事裁判：強い権限を持つ警察官や検察官の捜査に行きすぎがないように、い被疑者や被告人の権利が憲法で保障されている。
C う司法制度改革：日本では、裁判は利用しづらく、費用と時間がかかりすぎると考えられてきたが、このような状況を改めるために、改革が進められてきた。
D 三権分立：司法権の独立という原則により、え裁判官の身分が保障されている。また、立法権や行政権の行きすぎを抑制し、均衡を保つために、お違憲審査を行う。
(1) 資料1は、下線部あの仕組みの一部を模式的に表したものである。これについて、次のア、イに答えなさい。
資料1

ア X、Y のそれぞれに共通してあてはまる語を書きなさい。

解答 ： Ｘ：控訴 Ｙ：上告

解説 ： X は、第一審から第二審（高等裁判所）へ進む手続きである控訴を指しています。
Y は、第二審（高等裁判所など）から第三審（最高裁判所）へ進む手続きである上告を指しています。

５-１イ：イ 下級裁判所のうち、資料1中に表されていない裁判所は何か。 書きなさい。

解答 ： 家庭[裁判所]

解説 ： 資料1は、日本の三審制の仕組みを模式的に表しています。資料中に描かれている下級裁判所は地方裁判所と簡易裁判所です。
日本の下級裁判所は、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の3種類です。
したがって、資料1中に表されていない下級裁判所は家庭裁判所です。

５-２：(2) 下線部いについて述べた文として適切でないものを、次の1~4 の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 取り調べでの拷問は禁止され、拷問で自白しても証拠には ならない。
2 取り調べや裁判では、答えたくない質問には答えを拒否したり黙っていたりすることができる。
3 弁護人をたのむための費用が出せない場合は、裁判で弁護人 をつけることはできない。
4 被告人は、有罪の判決を受けるまでは無罪と見なされる。

解答 ： 3

解説 ：
1：拷問の禁止、自白の証拠能力の制限は、不当な捜査を防ぐための権利です。
2：自己に不利益な供述の強要の禁止は、被疑者・被告人の最も基本的な権利の一つです。
3：これは誤りです。憲法では、経済的な理由で弁護士を依頼できない被告人に対し、国が費用を負担して弁護人をつける制度を保障しています。これは、すべての人に公正な裁判を受ける権利を保障するための重要な仕組みです。
4：推定無罪の原則は、被告人が有罪判決を受けるまでは無罪の者として扱われるという、刑事裁判の基本原則です。

５-３：(3) 下線部うについて述べた下の文I , Ⅱの正誤の組み合わせとして適切なものを、次の1~4 の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
I 弁護士などの専門家が少ない地域でも、司法に関するサービスを受けられるように、日本 司法支援センター (法テラス) が設けられた。
Ⅱ裁判員制度では、満18歳以上の国民の中から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加し、裁判官と 話し合って、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰にするかを決定する。
1 Ⅰ-正　Ⅱ-正
2 Ⅰ-正　Ⅱ-誤
3 Ⅰ-誤　Ⅱ-正
4 Ⅰ-誤　Ⅱ-誤

解答 ： 1

解説 ： Ⅰ日本司法支援センターは、司法制度改革の一環として2006年に設立され、国民がどこでも法的な情報やサービスを受けられるように支援することを目的としています。特に、専門家が少ない地方での支援は重要な役割です。
Ⅱ裁判員制度の対象年齢は、制定当初は満20歳以上でしたが、2022年4月1日の民法改正に伴い、満18歳以上に引き下げられました。裁判員は、裁判官と共に有罪か無罪か、および刑の重さを決定します。

したがって、Ⅰ、Ⅱ共に正しいです。

５-４：(4) 下線部えの保障について述べた下の文中の■にあてはまる語を書きなさい。
裁判官は、心身の病気のために職務を行えない場合や、■が設置する弾劾裁判所が辞めさせる判決を下した場合、最高裁判所の裁判官に対する国民審査によって決定された 場合などを除いて、辞めさせられることはない。

解答 ： 国会

解説 ： 裁判官が心身の故障や弾劾裁判所の判決などによって辞めさせられる場合を除いて、身分が保障されることで、国会や内閣といった他の権力からの干渉を受けずに公正な裁判を行うことができます。

５-５：(5) 資料2は、ある法律に対する各裁判所の下線部お（違憲審査）の判断を表している。資料2の場合、この法律は合憲、違憲のどちらになるか、書きなさい。また、そのように考えた理由を書きなさい。
資料2

解答 ： 法律：違憲
理由：（例）最高裁判所が最終決定権を持っているため。

解説 ： 違憲審査権は、最終的に最高裁判所が判断を下すことで効力を発揮します。最高裁判所が「違憲」と判断を下した場合、その法律は効力を失います。
資料2では、最高裁判所が「違憲」と判断を下しています。地方裁判所や高等裁判所が「合憲」と判断していても、日本の司法制度の仕組みにより、最高裁判所の判断が最終的なものとして確定するからです。

■大問６

６-１：6 下の文章は、ある生徒が市場経済における生産と消費の関係についてまとめたものである。次の (1)~(4)に答えなさい。
・私たちが財やサービスといった商品を受け取る代わりに、お店に(あ)お金を支払うように、生産 と消費は、商品とお金のやりとりでつながっている。生産と消費を通じて、暮らしを便利で 豊かにする仕組みを(い)経済という。
・(う)企業は、市場での競争力を高めるため、新しい商品を生みだす研究や、生産を効率的に行う 方法の開発に力を入れており、その過程で技術革新がもたらされることがある。
・消費者は、さまざまな商品の(え)価格を比べて、どの商品をどのくらい購入するかを決め、生産 者も市場での価格の動きを見ながら、生産する商品とその生産量を決める。
(1) 下線部あを支払う際の支払い方法として広がっているキャッシュレス決済について述べた下の文中の■にあてはまる語を書きなさい。 キャッシュレス決済とは、クレジットカードなどを利用した、現金通貨を使わない支払い のことであり、支払いは、主に銀行にある■通貨を使って支払いが行われている。

解答 ： 預金

解説 ： キャッシュレス決済は、現金を使わずに、クレジットカードや電子マネーなどで行う支払い方法です。 これらの決済では、実際のお金の移動は、主に銀行の預金口座にある預金通貨を使って行われます。

６-２：(2) 下線部いの流れについて、資料1は、家計, 企業、政府のかかわりの一部を表している。 資料1中のA~C にあてはまる語の 組み合わせとして適切なものを、次の1~6の中 から一つ選び、その番号を書きなさい。
資料

1 A-家計　B-企業　C-政府
2 A-家計　B-政府　C-企業
3 A-企業　B-家計　C-政府
4 A-企業　B-政府　C-家計
5 A-政府　B-家計　C-企業
6 A-政治　B-企業　C-家計

解答 ： 2

解説 ： Bは、AとCの両方から「税金」を受け取っていることから、Bは政府です。
AとCでは、A（家計）↔ C（企業）：A（家計）がC（企業）に労働力を提供し、C（企業）がA（家計）に賃金を支払っています。

６-３ア：(3) 下線部うについて、次のア、イに答えなさい。
ア資料2は、ある企業の売上金や生産のためにかかった費用を表している。この企業の利潤はいくらか、金額を書きなさい。
資料２

解答 ： 500[万円]

解説 ： 利潤は、売上金からかかった費用をすべて引いた残りの金額です。生産にかかった費用は、
総費用=9,800万円+21,200万円+6,500万円=37,500万円　です。
したがって、利潤は、
利潤=38,000万円−37,500万円=500万円　です。

６-３イ：イ 株式会社について述べた下の文章中の X、Y にあてはまる語の組み合わせとして適切なものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
株式会社は、株式を発行することで得た資金で作られる企業である。株式を発行して 資金を集めることは、X 金融の方法の一つである。また、株主には、株主総会に 出席して議決に参加したり、利潤の一部を Y として受け取ったりする権利が保障 されている。
1 X-直接 Y-配当 2 X-直接Y-利子 3 X-間接 Y-配当 4 X-間接 Y-利子

解答 ： 1

解説 ： X：企業が株式を発行して投資家から直接資金を集める方法は、直接金融と呼ばれます。
Y：株主は、会社が生み出した利潤の一部を、所有する株数に応じて受け取る権利があります。この利潤の分配を配当と呼びます。

６-４：(4) 下線部えの変化について、ある年の2月におけるキャベツの価格は、記録的な大雪と低温に よる影響で不作となったために、例年より高くなった。キャベツの価格が例年より高くなった 理由を、次の2語を用いて書きなさい。
供給量　需要量

解答 ： （例）供給量が需要量が下回ったため。

解説 ： 市場では、商品の供給量と需要量のバランスで価格が決まります。
記録的な大雪と低温でキャベツが不作になると、市場に出回るキャベツの供給量が減少します。一方で、消費者が買いたい量である需要量は変わらない、またはそれほど減らないため、供給量が需要量よりも少なくなります。
したがって、売り手にとって有利な状況となり、価格が上昇します。

■大問７

７-１：7 下の会話文は、社会科の授業の様子を表している。次の (1) ~ (5) に答えなさい。
先生: 中学校社会科のまとめとして、社会的な課題の解決策を考えてみたいと思います。まずは、これまでの社会科 の学習を振り返り、課題を設定するために調べてみたいことを発表してください。

Aさん: 私は、国と地方公共団体の関係に興味があるので、あ明治時代から現在までの歴史を振り返り、政府と 地域社会がどのようなつながりを持っていたのかを調べてみたいです。
Bさん: 私は、地理で産業と社会の変化との結び付きを考察したことが印象に残っています。社会の変化がい東北地方の産業や人々の生活に与えた影響について、他の地方と比較してみたいです。
Cさん: 公民でう青森県の人口構成の推移を考察したときに、全国と同じ傾向であるということを学んだので、 私は、他県の人口減少対策の中で青森県にも活用できそうな事例を調べてみたいと思います。
Dさん: 公民で地方自治が「え民主主義の学校」とよばれていることや、住民による直接民主制の考え方を取り 入れたお直接請求権が認められていることを学びました。そこで、地域の課題の解決に向けた住民参加 について、青森県ではどのような取り組みがあるのかを調べてみたいです。 先生: みなさん、すばらしい発表です。では、課題の設定に向けて調査を始めましょう。

(1) 下線部あについて、明治政府が行ったこととして適切でないものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 徴兵令の発布
2 国家総動員法の制定
3 廃藩置県の実施
4 学制の公布

解答 ： 2

解説 ： 国家総動員法は、日中戦争の激化に伴い、戦時体制を強化するために昭和時代に制定された法律であり、明治政府が行ったことではありません。

７-２：(2) 右の資料は、下線部いのある特徴を表している。資料中の● について述べた下の文章中の (空欄) に共通してあてはまる語を書きなさい。
資料

資料中の●は、半導体,自動車、精密機械などを造る工場が集まる(空欄) を表している。 (空欄) は、高速道路のインターチェンジ 付近など交通の便が良い場所に多く造られる傾向にある。

解答 ： 工業団地

解説 ： 工業団地は、工場を集約して建設するために整備された土地で、特に物流の便が良い高速道路のインターチェンジ付近に多く造られます。東北地方では、高度経済成長期以降、高速道路網の発達と、広大な土地の利用や労働力の確保を目的に、これらの工業団地に新しい産業の工場が進出してきました。

７-３：(3) 下線部うについて、下の1~3は、青森県の1980年、2000年,2020年のいずれかの人口ピラ ミッドを表している。1~3を年代の古い順に並べ、その番号を書きなさい。
選択肢

解答 ： 2→3→1

解説 ： 1.古い時代（1980年）：富士山型（釣り鐘型）に近い形。若年層の割合が比較的高い。少子高齢化がまだ初期段階。
2.中間期（2000年）：つぼ型に変形。若年層の割合が減少し、生産年齢人口が最も多く、高齢者の割合が増え始める。
3.新しい時代（2020年）：つぼ型（またはやぐら型）が顕著。若年層の割合が極端に低く、高齢者の割合が最も高く、少子高齢化が最も進行している状態。

７-４：(4) 下線部えについて、古代ギリシャにおいて、今日の民主主義の起源となる民主政が行われていた都市国家アテネについて述べた文として適切なものを、次の1~4の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 ペスト(黒死病)が大流行して、人口の3分の1近くが失われた。
2 天文学が発達し、太陽を基準に1年を365日として12か月に分ける太陽暦が作られた。
3 カトリック教会の頂点に立つ教皇が人々の信仰を指導し、大きな権威を持った。
4 成年の男性からなる市民は奴隷を持ち、農業を営み、戦争では兵士として戦った。

解答 ： 4

解説 ：
1：これは中世ヨーロッパ（14世紀頃）の出来事です。
2：これは古代エジプトや、後にユリウス・カエサルによって導入されたユリウス暦（古代ローマ）に関連する内容です。
3：これは中世ヨーロッパの出来事であり、キリスト教に関わる記述で、古代ギリシャとは異なります。
4：古代アテネの民主政は、成年の男性市民のみが政治に参加できる直接民主制でした。市民の生活は、奴隷に労働を依存しており、市民は政治や軍事に専念できました。この記述は、当時のポリスの社会構造を正確に表しています。

７-５：(5) 下線部おについて述べた下の文章中の I にあてはまる語を書きなさい。また、 Ⅱ にあてはまる数値を書きなさい。

条例の制定や改廃を求める場合、署名をもって I に対して請求するとされている。 有権者が150万人と仮定すると、 Ⅱ 万人以上の有権者の署名が必要である。

解答 ： Ⅰ：首長　Ⅱ：3

解説 ： Ⅰ：地方自治体における条例の制定・改廃を求める場合、有権者による署名簿は、首長（知事や市長・町村長）に提出され、その後議会にかけられます。
Ⅱ：地方自治法により、条例の制定・改廃の直接請求に必要な署名数は、有権者総数の50分の1以上と定められています。
150万人 ×1/50=3万人