06-6476-7424

受付時間/月曜日〜土曜日 9:00~18:00




■問題PDF 



令和7年度_学力検査問題過去問【北海道】- 理科


■目次 


大問1
大問2
大問3
大問4
大問5






■大問1



次の問いに答えなさい。




問1:次の文の[ ① ]~[ ⑧ ]に当てはまる語句を書きなさい。




問1(1):雷(いなずま)のように、電気が空間を一瞬で移動したり、たまっていた電気が流れ出したりする現象を[ ① ]という。



解答 : 放電


解説 : 「電気が空間を移動したり、たまっている電気が流れたりする現象」は放電である。
また、真空にした放電管内など、気圧が低いときに空間を電流が流れる現象を真空放電という。




問1(2):Cl⁻のように原子が電子を受け取って、-の電気を帯びたものを[ ② ]イオンという。



解答 : 陰


解説 : 「原子が電子を受け取って,-の電気を帯びたもの」は陰イオンである。
対して、原子が電子を失ってプラスの電気を帯びたものは、陽イオンである。




問1(3):生態系において、水中の植物プランクトンや陸上の植物などのように、無機物から栄養分となる有機物をつくりだす生物を、消費者に対し、[ ③ ]という。



解答 : 生産者


解説 : 「無機物から栄養分となる有機物をつくりだす生物」のことを生産者という。
「消費者」は、生産者から有機物を得る生物のことである。




問1(4):空気が冷やされて、ある温度に達すると、空気にふくまれていた水蒸気が水滴に変わり始める。この温度を[ ④ ]という。



解答 : 露点


解説 : 「空気にふくまれていた水蒸気が水滴に変わり始める」ときの温度は、露点といわれる。また、この現象を凝結という。これは、身近な現象としては、冷たい水をコップに入れる場面に見ることができる。


図1:解説の図


問1(5):コイルに磁石を出し入れすると、コイルの中の磁界の変化にともないコイルの両端に電圧が生じ、コイルに電流が流れる現象を[ ⑤ ]という。



解答 : 電磁誘導


解説 : 「コイルの中の磁界の変化にともないコイルの両端に電圧が生じ,コイルに電流が流れる現象」のことを電磁誘導という。
また、この際に流れる電流のことを誘導電流という。


図2:解説の図

問1(6):水溶液のpHの値が7より大きいとき、その水溶液は[ ⑥ ]性である。



解答 : アルカリ


解説 : 「pHの値が7より大きい」水溶液は、アルカリ性である。 pHの値が7より小さい水溶液については、賛成である。


図3:解説の図

問1(7):雌雄の親がかかわり受精によって子をつくる生殖の方法を、[ ⑦ ]生殖という。



解答 : 有性


解説 : 「雌雄の親がかかわり受精によって子をつくる生殖の方法」は有性生殖である。
それに対して、受精をせずに子孫を増やしていくことを無性生殖とよぶ。これは1個体が分かれて新しい個体がつくられるもの(分裂)で、アメーバやミカヅキモなどの単細胞動物にみられる。




問1(8):ほとんど位置が動かない前線を[ ⑧ ]前線といい、つゆの時期にできる[ ⑧ ]前線は梅雨前線とよばれる。



解答 : 停滞


解説 : 「ほとんど位置が動かない前線」は停滞前線とよばれる。
これには、梅雨の時期にできる梅雨前線や、9月上旬から10月上旬頃にできる秋雨前線などがある。




問2:図1は、正面から見たヒトの心臓と、心臓から送り出された血液が流れる血管と心臓に戻ってくる血液が流れる血管を模式的に示したものである。動脈血が流れる血管として、適当なものを、ア~エから2つ選びなさい。


図4:問題の図(図1)

解答 : イ、エ


解説 : 血液の流れについて整理する。血液は心臓の左心室から大動脈に送り出され、身体を巡って全身で使われた血液は、静脈を介して右心房に戻ってくる。右心室は肺動脈を通って肺へ血液を送り、それが左心房に返ってくる。

「心臓から送り出された血液が流れる血管」は動脈、「心臓に戻ってくる血液が流れる血管」は静脈である。また、動脈血は酸素を多く含む血液で、肺静脈と大動脈を流れている。静脈血については、細胞に酸素を届けた後の、二酸化炭素が多く、酸素が少ない血液である。したがって、動脈血が流れる血管は、選択肢イとエが適当である。


図5:解説の図


問3:ある物体を空気中でばねばかりでつるしたところ、ばねばかりは2.0Nを示した。この物体を、ばねばかりにつるしたまま、水の入った容器の底につかないように水中に完全に沈めたところ、ばねばかりは1.5Nを示した。このとき、この物体にはたらく浮力の大きさは何Nか、書きなさい。



解答 : 0.5N


解説 : 問題文より、ある物体をばねばかりでつるしたとき、空気中では2.0Nであり、それを水中に沈めると1.5Nである。
水中では空気中にはない浮力が働くので、その力が働いた分、ばねはかりの値が小さくなったと考えられる。したがって、2.0N – 1.5N = 0.5N と計算でき、浮力は0.5Nと求められる。


図6:解説の図


問4:図2のように、容器に物質Aと塩酸を入れ、ふたをしっかり閉めてから質量をはかったところ、容器全体の質量はPであった。次に容器を傾け、物質Aと塩酸を反応させ、二酸化炭素を発生させたところ、容器全体の質量はQであった。さらに、容器のふたをゆるめたところ、容器全体の質量はRであった。P~Rの大小関係を表すものとして、最も適当なものを、ア~エから選びなさい。
図7:問題の図(図2)

ア P<Q,Q<R  イ P = Q,Q>R
ウ P<Q,Q = R  エ P = Q,Q<R



解答 : イ


解説 : ふたを開ける前は、質量保存の法則により質量の変化はないと考えられる。よって、質量PとQは等しいとわかる。また、容器のふたをゆるめると、気体が容器の外に出てしまうので、Rの質量はQの質量より小さくなると考えられる。
したがって、選択肢イが適当である。


図8:解説の図
図9:解説の図


問5:図3は、ある日の22時の北極星と恒星Aの位置を示した模式図である。●印は、北極星を中心とし恒星Aを通る円の周を12等分する位置を示している。この日の22時から4時間前の恒星Aの位置として、最も適当なものを、ア~サから選びなさい。


図10:問題の図(図3)

解答 : コ


解説 : アからサまでは360度なので、アとイの間、恒星Aとサの間は30度だと求められる。 星は、1日で大体同じ位置に戻るので、これは24時間で360度動くということである。よって、360 ÷ 24 = 15 となり、1時間で15°動くことがわかる。したがって、22時から4時間後には、15° × 4 = 60° 動いていると考えられる。1目盛りの間は30度なので、2目盛り分動いたことがわかる。
また、北の空での星の動きは反時計回りである。
以上より、22時から4時間前の恒星Aの位置は、2目盛り戻せばいいので、選択肢コが適当である。


図11:解説の図







■大問2



次の問いに答えなさい。

生徒A、B、C、Dが植物の分類について調べるため、次の実習を行った。

実習 校庭の植物をルーペを使って観察し、観察したことと調べたことをもとに観察カードを作成した。図1は、作成した4枚の観察カードである。


図12:問題の図
図13:問題の図

問1:下線部について、観察するものが手に持てる場合、ルーペを使った観察の方法として、最も適当なものを、ア~エから選びなさい。

ア ルーペを目から遠ざけて持ち、顔だけを前後に動かす。
イ ルーペを目から遠ざけて持ち、ルーペだけを前後に動かす。
ウ ルーペを目に近付けて持ち、観察するものだけを前後に動かす。
エ ルーペを目に近付けて持ち、顔とルーペを前後に動かす。



解答 : ウ


解説 : ルーペを使う場合、ルーペは必ず目から離さないで使うことが大事である。そのため、観察するものを手に持ち、観察するものを動かして距離を調節する。よって、選択肢ウが適当である。




問2:図2は生徒Aがマツのりん片のつくりを、図3は生徒Dがアブラナの花のつくりを、それぞれスケッチしたものである。図2のX、Yと同じはたらきをもつつくりを、図3のア~オからそれぞれ選びなさい。


図14:問題の図(図2・3)

解答 : Xと同じはたらき オ Yと同じはたらき ウ


解説 : まず、マツのリン片と、アブラナの花のつくりについて整理する。
図15:解説の図
図16:解説の図

・Xと同じはたらき
図2のXは、雌花の胚珠である。これは種子のもとである。アブラナの花で種子になる部分は、子房の中の胚珠なので、選択肢オが適当である。

・Yと同じはたらき
図2のYは、マツの雄花の花粉のうである。これは花粉がつくられるもとである。アブラナの花で同じはたらきをもつのはおしべである。よって、選択肢ウが適当である。




問3:図4は、実習で作成した観察カードをもとに、生徒Bが植物の分類についてまとめたものである。[ ① ]~[ ③ ]に当てはまる語句として、最も適当なものを、ア~カからそれぞれ選びなさい。
図17:問題の図(図4)

ア 種子でふえる イ 子房がある  ウ 茎が地中にある
エ 花粉をつくる オ 維管束がある カ 花がさく



解答 : [ ① ] オ [ ② ] イ [ ③ ] ウ


解説 : 植物の分類について、まずは図で整理する。
図18:解説の図

[ ① ]について。
ゼニゴケはコケ植物である。コケ植物には維管束がなく、それ以外の植物にはあるので、[ ① ]には「維管束がある」が当てはまる。よって、選択肢オが適当である。
維管束とは、道管と師管でできた植物の全身を通る管である。

[ ② ]について。
アブラナは離弁花類で、それ以外の2つの植物との違いは子房の有無である。したがって、[ ② ]には選択肢イが適当である。
合弁花類は花弁がくっついているもので、花弁が1枚1枚離れているものが離弁花類である。

[ ③ ]について。
イヌワラビはシダ植物、マツは裸子植物である。この違いは茎が地中にあるかという部分なので、[ ③ ]には選択肢ウが適当である。
シダ植物は、種子をつくらない植物(コケ植物など)と違って、根、茎、葉のくべつがあるという特徴がある。




問4(1):実習では、ゼニゴケは湿っている場所で見られたのに対して、イヌワラビは乾いている場所で見られた。次の(1)、(2)に答えなさい。

ゼニゴケはどのように水をとり入れているか、仮根が果たしている役割とともに書きなさい。



解答 : 湿っている場所に仮根でからだを固定して、からだの表面から水をとり入れている。


解説 : 問題文にもある「仮根」は、コケ類、藻類にみられる根に似たものである。これは水分を吸収し、体を固着する役割をするが、維管束のような組織はない。
よって、「湿っている場所に仮根でからだを固定して、からだの表面から水をとり入れている。」といった答えが書けていればよい。




問4(2):イヌワラビが、乾いている場所の土から水を吸収できるのはなぜか、観察カードからわかることと気孔のはたらきにふれて書きなさい。



解答 : 気孔からの蒸散によって、根から水を吸収できるから。


解説 : イヌワラビはシダ植物である。葉の裏にある気孔から余分な水を蒸散している。加えて、蒸散によって不足した水は、根から吸いあげている。
よって、「気孔からの蒸散によって、根から水を吸収できるから。」といった答えが書けていればよい。










■大問3



ある金属のイオンへのなりやすさについて、科学的に探究した内容を、レポートにまとめました。次の問いに答えなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レポート 金属Xのイオンへのなりやすさを調べる
【課題】金属Xのイオンへのなりやすさは、銅と亜鉛と比較してどのようなちがいがあるのだろうか。
【仮説】金属X、銅、亜鉛の金属片と塩酸および金属イオンをふくむ水溶液との反応から、金属Xのイオンへのなりやすさを推定することができるのではないか。
【実験1】金属片と塩酸や金属イオンをふくむ水溶液との反応を調べた。
 方法1 金属X、銅、亜鉛の金属片をそれぞれ塩酸に入れ、変化を調べた。
 方法2 表の操作ア~ケのように、それぞれの金属片を、金属Xのイオンをふくむ水溶液、硫酸銅水溶液、硫酸亜鉛水溶液に入れ、変化を調べた。
 結果 方法1について、金属片を塩酸に入れると、亜鉛の金属片の表面からは(a)気体が発生したが、金属Xと銅の金属片は変化がなかった。    方法2について、それぞれの操作の結果は表のようになった。また、(b)操作クにおいて、金属片の表面に個体が付着したあと、硫酸銅水溶液の青色は残っていたがうすくなった。
図19:問題の図
 考察 ・金属片と塩酸の反応は、イオンへのなりやすさに関係があると考えられる。
   ・金属Xと銅のイオンへのなりやすさのちがいは、操作[ ① ]の結果と操作[ ② ]の結果を比較するとわかる。
   ・表より、金属X、銅、亜鉛イオンへのなりやすさは、なりやすい方から順に、亜鉛>銅>金属Xであると考えられる。
【新たな疑問】金属のイオンへのなりやすさと電池の電流の向きはどのような関係があるのだろうか。
【実験2】金属X、銅、亜鉛のうち、2種類の金属片の間で流れる電流の向きを調べた。
 方法 食塩水で湿らせたろ紙の上に、金属X、銅、亜鉛の金属片を置いて、右のような装置を作った。検流計の端子を2種類の金属片につなぎ、電流が流れる向きをそれぞれ測定した。
 結果 金属Xから亜鉛へ、金属Xから銅へ、銅から亜鉛へ、それぞれ電流が流れた。
 考察 この実験から、金属のイオンへのなりやすさと電流の向きの関係について、電流は[[   ]]に向けて流れると考えられる。
図20:問題の図



問1:【実験1】について、次の(1)~(4)に答えなさい。



問1(1):下線部(a)の気体を化学式で書きなさい。



解答 : H₂


解説 : 気体(a)は、亜鉛の金属片を塩酸に入れたとき、表面から発生したものである。この場合、化学反応式は以下のようになる。 
 Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
亜鉛と塩酸を反応させると、塩化亜鉛と水素ができる。よって、答えはH₂である。

この気体は、以下のような装置で集めることができる。


図21:解説の図


問1(2):[ ① ]、[ ② ]に当てはまる操作を、結果の表の操作ア~ケからそれぞれ選びなさい。



解答 : [ ① ] イ [ ② ] エ


解説 : [ ① ]、[ ② ]には、金属Xと銅のイオンへのなりやすさの違いを見付けるための2つの実験があてはまる。
金属Xのイオンを含む水溶液に銅の金属片を入れる場合と、反対に銅イオンが溶けている硫酸銅水溶液に金属Xの金属片を入れる場合で比較することができる。よって、選択肢イとエが適当である。




問1(3):図は、硫酸銅水溶液に亜鉛の金属片を入れる前のイオンのようすをモデルで表したものである。下線部(b)のときのイオンのようすを表すモデルを回答欄の図にかき加えなさい。
ただし、●は銅イオン、◎は硫酸イオン、〇は亜鉛イオンを示すこととし、電子、電位の動きおよび亜鉛の金属片に付着した個体は記入しなくてよい。


図22:問題の図

解答 :
図25:解答の図


解説 : 硫酸銅水溶液に亜鉛の金属片を入れる前は以下のような状態である。
図23:解説の図
下線部(b)より、「金属片の表面に固体が付着したあと,硫酸銅水溶液の青色は残っていたがうすくなった」とのことなので、全ての銅が反応したわけではないと考えられる。よって、化学反応式とその際の図は以下のようになる。
図24:解説の図
 Zn + CuSO₄ → ZnSO₄ + Cu




問1(4):イオンへのなりやすさが、亜鉛>金属Y>銅>金属Xである金属Yがある。金属Yの金属片と次の水溶液から必要なものを用いて、金属Yのイオンへのなりやすさを最も少ない操作回数で確かめるとき、必要な操作と予想される結果を、それぞれ書きなさい。ただし、1回の操作は、1つの水溶液に1つの金属片を入れることを表し、水溶液どうしは混合できないものとする。なお、使用する水溶液は、A~Dの記号を用いて書くこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇用意した水溶液
 金属Xのイオンをふくむ水溶液・・・A
 硫酸銅水溶液・・・・・・・・・・・B
 硫酸亜鉛水溶液・・・・・・・・・・C
 金属Yのイオンをふくむ水溶液・・・D
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



解答 :金属Yの金属片をBに入れ個体が付着することと、金属Yの金属片をCに入れ変化がないことを確かめる。


解説 : まず金属Yは、イオンのなりやすさが亜鉛>金属Y>銅>金属Xという順である。ここから、金属Yが亜鉛よりはイオンになりにくく、銅よりはイオンになりやすいということがわかる。よって、硫酸銅水溶液に入れたときには金属Yが個体として付着し、硫酸亜鉛水溶液に入れたときは金属Yには変化がないことが考えられる。
したがって、「金属Yの金属片をBに入れ個体が付着することと、金属Yの金属片をCに入れ変化がないことを確かめる。」といったことが書けていればよい。


図26:解説の図


問2:【実験2】の[[   ]]に当てはまる内容を、金属のイオンへのなりやすさにふれて書きなさい。



解答 : イオンになりにくい金属からイオンになりやすい金属


解説 : [[   ]]は、実験2の結果を受けての考察の一部である。金属のイオンへのなりやすさと電流の向きの関係について、電流がどのような向きに流れるか、まとめたらよい。
実験2の結果は、「金属Xから亜鉛へ、金属Xから銅へ、銅から亜鉛へ、それぞれ電流が流れた。」とのことなので、「イオンになりにくい金属からイオンになりやすい金属(に向けて電流が流れる)」といった答えが書けていればよい。










■大問4



次の問いに答えなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Kさんは、写真のようなLED(発光ダイオード)を用いたスイッチのしくみについて調べるため、LEDと豆電球を用いて、次の実験1、2を行った。図1はスイッチの模式図である。
図27:問題の図(写真・図1)

実験1 図2のような回路を用意し、LEDに加える電圧を少しずつ上げていき、LEDが点灯しているときの、LEDに加えた電圧と電流の大きさを調べた。表1は、このときの結果をまとめたものである。
図28:問題の図(図2)
図29:問題の図(表1)

実験2 図3の回路図で表される回路を用意し、スイッチを操作したときのLEDと豆電球それぞれに加わる電圧と流れる電流の大きさを、それぞれ調べた。表2は、このときの結果をまとめたものである。なお、表中の「計測不能」とは、電圧が0.01V未満で、電圧計による計測ができなかったことを示している。


図30:問題の図(図3)
図31:問題の図(表2)


問1:実験1について、次の(1)、(2)に答えなさい。



問1(1):3.2Vの電圧を加えたときのLEDの抵抗は何Ωか、書きなさい。



解答 : 800Ω


解説 : 実験1において、3.2Vの電圧を加えたときの電流の大きさは、表1より4mAだとわかる。
オームの法則を使って、V = R × I → 3.2V = R × 4mA → 3.2V = R × 0.004A → R = 3.2V / 0.004A → R = 800Ω よって、実験1において電圧3.2VをかけたときのLEDの抵抗は800Ωと求められる。


図32:解説の図


問1(2):LEDには、決まった向きにしか電流を流さないという性質がある。このことを実験1の操作をふまえて調べるためには、図2の回路のLEDに対してどのような操作を行い、どのようなことが観察できればよいか、書きなさい。



解答 : LEDの端子Aと端子Bを逆につなぎ、LEDが点灯しないこと。


解説 : 問題文にあるように、LEDは決まった向きにしか電流を流さない。よって、逆方向に電流を流すと、点灯しないと考えられる。
よって、LEDの端子Aと端子Bを逆につなぐという操作を行い、LEDが点灯しないことが確認できればよい。




問2:実験2について、次の(1)~(3)に問いに答えなさい。




問2(1):図3の回路図で表される回路となるよう、解答欄の図の●と●を、導線が重ならないように線でつないで回路を完成させなさい。


図30:問題の図(図3)

解答 :
図34:解答の図


解説 : 図3から、回路の特徴を整理する。LEDとスイッチを並列につなぎ、豆電球が直列に接続されていればよい。


図33:解説の図


問2(2):次の文の①の{  }に当てはまるものを、ア、イから選びなさい。また、[ ② ]に当てはまる内容を、抵抗の大きさと電流の流れる場所にふれて、書きなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 スイッチがOFFのときは、LEDと豆電球は①{ ア 直列  イ 並列 }につながっており、豆電球は点灯せず、LEDのみが点灯する。これは、回路全体の抵抗が大きくなり、回路を流れる電流が微小となるためである。
 一方、スイッチがONのときは、LEDは点灯せず、豆電球のみが点灯する。これは、[  ②  ]ためである。



解答 : [ ① ] ア
[ ② ] 電流が抵抗の大きいLED側には流れず、スイッチ側を流れる。


解説 : ①{  }について
図3をみると、これは直列回路だとわかる。よって、選択肢アが適当である。

[ ② ]について
[ ② ]には、「スイッチがONのときは、LEDは点灯せず、豆電球のみが点灯する。」ことの理由が当てはまる。
よって、「電流が抵抗の大きいLED側には流れず、スイッチ側を流れる。」といった答えが書けていればよい。




問2(3):図4は、Kさんが結果をもとに考察したものの一部を示したものである。[ ① ]に当てはまる数値を書きなさい。また、[  ②  ]に当てはまる内容を、豆電球とLEDのエネルギーの変換のちがいにふれて、書きなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
図4

 豆電球とLEDがそれぞれ点灯したときの電力を比べると、豆電球の電力は、LEDの電力の[ ① ]倍であった。また、それぞれが点灯したときの明るさを比べると、電力の大きい豆電球の方が、電力の小さい豆電球よりも暗く、豆電球とLEDの表面温度にはちがいがあった。これは、[  ②  ]ためと考えられる。



解答 : [ ① ] 70
[ ② ] 豆電球はLEDよりも、電流エネルギーの多くを熱エネルギーに変換した。


解説 : [ ① ]について。
図35:解説の図
まず、豆電球とLED、それぞれの電力を求める。また、1A = 1000mAである。
・豆電球の電力 3.2V × 280mA = 3.2V × 0.28A = 0.896W
・LEDの電力 3.2V × 4mA = 3.2V × 0.004A = 0.0128W
次に、豆電球の電力がLEDの何倍か、計算する。
0.896W ÷ 0.0128W = 8960 ÷ 128 = 70 よって、70倍と求められる。

[ ② ]について。
[ ② ]は、豆電球とLEDの電力の差、明るさと表面温度の差について、その原因が当てはまると考えられる。豆電球とLEDを比較すると、豆電球の方が電力が大きく、明るさについてもLEDより明るい。よって、「豆電球はLEDよりも、電流エネルギーの多くを熱エネルギーに変換した。」といった答えが書けていればよい。










■大問5



次の問いに答えなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地震について調べるため、次の実習1、2を行った。
実習1 ある地震について、図1のような地震計の記録を調べたところ、図2のように、はじめの小さなゆれXと、後からくる大きなゆれYの2種類のゆれが記録されていた。
図36:問題の図(図1・2)

実習2 震央の位置がほぼ同じで、異なる日に起きた地震Aと地震Bの地震計の記録をインターネットで調べ、Q~S地点における、ゆれXとゆれYが始まった時刻をそれぞれ読み取った。表は、その結果をまとめたものである。ただし、これらの地震において、P波、S波の伝わる速さは、それぞれ一定とする。


図37:問題の図(表)



問1:実習1について、次の(1)、(2)に答えなさい。




問1(1):ゆれXとゆれYを何というか、それぞれ書きなさい。



解答 : ゆれX 初期微動 ゆれY 主要動


解説 : ・ゆれXについて
実習1の説明で、ゆれXは「はじめの小さなゆれ」と書かれている。地震のうち、このような小さなゆれは初期微動という。

・ゆれYについて
ゆれYも同様に実習1の部分を読むと、「後からくる大きなゆれ」と説明されている。このようなゆれを主要動という。




問1(2):図1の地震計のしくみの説明として、最も適当なものを、ア~エから選びなさい。

ア 記録紙は地震のゆれに対してほとんど動かないが、おもりと針はゆれとともに動くので、ゆれを記録することができる。
イ 記録紙とおもりと針が地震のゆれとともに動くので、ゆれを記録することができる。
ウ 記録紙は地震のゆれに対してほとんど動かないが、おもりと針はゆれと反対方向に動くので、ゆれを記録することができる。
エ 記録紙は地震のゆれとともに動くが、おもりと針はほとんど動かないので、ゆれを記録することができる。



解答 : エ


解説 : 地震計は、地震の揺れを波で表して記録する機械である。ばねでおもりをつり下げてあり、おもりの先にはペンが付いていて、ペンの先には紙があるものである。地震が起きると地震計は揺れるが、つりさげられているおもりは揺れない仕組みである。
よって、選択肢エが適当である。




問2:実習2について、次の(1)~(3)に答えなさい。ただし、地震Bにおいて、S地点の震源からの距離は300㎞であるとする。




問2(1):地震A、Bのゆれには、ゆれXの継続時間にどのようなちがいがあるか、表からわかることを説明しなさい。また、そのちがいが生じる理由を書きなさい。



解答 : ちがい 地震Aは、地震Bに比べてゆれXの継続時間が長い。

理由 地震Aは、地震Bに比べて震源の深さが深いから。


解説 : ・地震AとBの、ゆれXの継続時間のちがい
Q地点において、地震AのゆれXの継続時間は11秒、地震BのゆれXの継続時間は5秒である。同様に、R地点での地震AのゆれXの継続時間は17秒、地震BのゆれXの継続時間は15秒である。また、S地点では、地震AのゆれXの継続時間は27秒、地震BのゆれXの継続時間は25秒である。
以上の結果から、「地震Aは、地震Bに比べてゆれXの継続時間が長い」ということがわかる。

・ちがいが生じる理由
ゆれXは初期微動なので、この継続時間は初期微動継続時間とよばれるものである。この時間は、震源に近いところほど短くなるものである。 したがって、ちがいが生じる理由は「地震Aは、地震Bに比べて震源の深さが深いから」といった内容が書けていればよい。




問2(2):地震Bにおいて、ゆれX、Yが始まった時刻と震源からの距離との関係をそれぞれグラフに書きなさい。また、地震Bが発生した時刻は6時何分何秒と考えられるか、書きなさい。ただし、グラフには、ゆれXについて表から得られる3つの値を●印で、ゆれYについて表から得られる3つの値を✖印で、それぞれはっきりと記入し、グラフの線は解答欄のグラフ用紙の端から端まで引くこと。



解答 : グラフ 図38:解答の図

地震Bが発生した時刻
6時11分29秒


解説 : ・グラフについて。
地震Bにおいて、ゆれX、Yが始まった時刻と震源からの距離との関係を、表を基にかく。しかし、この表からゆれXとゆれYの始まった時刻は読み取れるが、震源から各地点への距離はわからない。
そこで、震源からの距離とゆれX、ゆれYの始まった時刻、震源からの距離と初期微動継続時間は比例するという特徴を活用する。すると、地点Sは初期微動継続時間が25秒で、震源からの距離が300㎞、地点Qは初期微動継続時間が5秒なので、25 : 300 = 5 : Q → 25Q = 300 × 5 → 25Q = 1500 → Q = 60 よって、地点Qの震源からの距離は60㎞とわかる。同様に地点Rの震源からの距離も求められる。
図39:解説の図

整理した表を用いて、各地点震源からの距離と、それぞれの地点のゆれXとゆれYの開始時刻の●印、✖印をとることができる。
図40:解説の図

・地震Bが発生した時刻について。
先にかいた2つのグラフより、初期微動と主要動が始まった時刻が地震Bの発生した時刻である。よって、地震Bが発生したのは、6時11分29秒とわかる。




問2(3):地震Bにおいて、震源からの距離が36㎞の地点でゆれXを観測してから、5秒後に緊急地震速報が発表されたとすると、Q地点では、緊急地震速報が伝わってから、何秒後にゆれYが始まるか、書きなさい。なお、緊急地震速報が、発表されてから各地点に伝わるまでの時間は無視できるものとする。



解答 : 4秒後


解説 : (2)より、地震Bの発生時刻は6時11分29秒とわかる。

まず、初期微動と主要動の速さを求める。
震源から地点Sまでの距離は300㎞、地震が発生してからゆれXが始まるまで50秒かかっているので、300㎞ ÷ 50秒 = 6㎞/秒 よって、初期微動の速さは 6㎞/秒とわかる。同様に、地震が発生してからゆれYが始まるまでの時間は75秒なので、300㎞ ÷ 75秒 = 4㎞/秒 よって、主要動の速さは 4㎞/秒と計算できる。
図41:解説の図

次に、震源から36㎞の地点でゆれXを観測するまでにかかる時間は、36㎞ ÷ 6㎞/秒 = 6秒 よって、6秒かかったことがわかる。緊急地震速報が発表されたのはゆれを観測してから5秒後なので、6秒 + 5秒 = 11秒 したがって、地震が発生してから11秒後に緊急地震速報が発表されたと求められる。
図42:解説の図

そして、Q地点において緊急地震速報が伝わってから、何秒後にゆれが始まるかを求める。
地点Qの震源からの距離は60㎞である。まず地点Qで、ゆれYが始まるまでの時間は、60㎞ ÷ 4㎞/秒 = 15 よって、地点QでゆれYが始まるまで15秒かかる。
図43:解説の図
以上より、緊急地震速報が発表されたのは地震が発生してから11秒後で、Q地点においてゆれYが始まるのは地震発生から15秒後である。したがって、15秒 – 11秒 = 4秒 と求められる。


図44:解説の図

PAGE TOP