■問題PDF
令和7年度_学力検査問題過去問【福岡】- 国語
■目次
大問1
大問2
大問3
大問4
■大問1
次の文章を読んで、後の各問に答えなさい。句読点等は字数として数えること。
問題の答えが閃いたり、謎めいたものの正体が明らかになったりすると、私たちは「あっ、わかった!」と叫びたくなる。このようなときの「わかる」はたいてい直観的な理解である。答えがパッと思い浮かび、謎の正体が突然明らかになる。このような直観もまた、私たちの物事の理解にとって非常に重要である。
たとえば、数学の証明問題を考えてみよう。証明は、与えられた前提から一定の規則に従って結論を導き出すことである。しかし、従うべき規則は複数あり、それらをどんな順番で適用していけばよいかは明らかではない。この点が証明の難しいところである。証明問題を解くというのは、ようするにどの規則をどの順に適用するかを発見することだと言っていい。
しかし、たんにどの規則をどの順に適用するかがわかっただけでは、じつは証明が本当にわかったとは言えない。たとえば、頭をひねってもなかなか証明問題が解けないので、ついつい答えを見てしまうことがある。しかし、答えを見てもなお、よくXと感じることがあるだろう。答えを見れば、どの規則をどの順に適用して、前提から結論が導かれているかはYのだが、それでもどうも腑に落ちないのである。
なぜここでこの規則を適用するのか。「そうすれば、解けるからだ」と言われても、「でも、どうして」と言いたくなる。しかし、最初は腑に落ちなくても、証明を何度もたどりかえして、証明の流れに慣れてくると、やがて「あっ、わかった」と感じられる瞬間が訪れてこよう。それは証明のいわば「核心」が直観的に把握された瞬間である。証明の本当の理解には、証明の核心を直観的につかむことが必要なのである。
直観はこのように私たちの理解を深めてくれる。では、そもそも直観とは何であろうか。直観にはいろいろな面があるが、以下では、直観と知覚の比較を通じて、直観の一端を明らかにしたい。
知覚はその形成の過程が意識されることなく、その結果だけが意識にのぼる。バナナから光の刺激を受けると、バナナが見える(つまりバナナの姿が意識に現れる)。しかし、このバナナの知覚が形成される過程、すなわち網膜に到達した光刺激が脳の視覚皮質に送られ、そこで順次、情報処理がなされていく過程は、意識にのぼらない。最終的な結果であるバナナの知覚だけが意識にのぼる。したがって、意識のうえでは、知覚は形成過程なしに突如出現するように思える。しかし、いま説明したように、それは無意識的な形成過程を経ているのである。
知覚と同様のことが、直観でも生じている。直観においても、その形成過程は意識されず、結果だけが意識にのぼる。さきほど述べたように、証明を何度もたどっていると、やがてその核心が直観されるが、意識にのぼるのはその核心の直観だけであって、それが脳のなかでどのような情報処理を経て形成されるかは意識されない。
このように知覚と直観のあいだには、よく似た点がある。しかし、その一方で、重要な違いもある。すなわち、知覚においては、物事の具体的な内容が意識に現れるのにたいし、直観では、抽象的な内容しか現れない。バナナの知覚においては、意識に具体的なバナナの姿が現れるが、証明の直観においては、証明の核心という抽象的な内容しか意識に現れない。もちろん、証明を構成する式(または命題)の系列を具体的に意識に思い浮かべることはできるだろうが、それは直観によって捉えられる証明の核心ではない。Z、証明の核心を直観的に把握できなくても、証明をよく暗記すれば、証明の式/命題の系列を具体的に思い浮かべることは可能だからである。証明を直観的に把握することは、証明の式/命題の系列を具体的に思い浮かべることではなく、証明の核心を一挙に捉えることなのである。
A[これは何も視覚的な事柄に限った話ではない。たとえば、ひとつの楽曲が直観的に把握されるというような聴覚的な事柄の場合も、同様である。ベートーベンの「運命」を何度も聴いて、それが直観的にわかるようになったとしよう。このとき、「運命」の核心を一挙に捉えることになるが、それはこの楽曲を構成する音を順に意識に思い浮かべることではない。楽曲の核心を捉えることは瞬時に可能だが、楽曲のすべての音を具体的に思い浮かべるには、何十分もかかる。楽曲を直観的に把握することは、意識のなかで楽曲を具体的に再現することではなく、楽曲の核心を一挙に捉えることなのである。]
このように、直観では、知覚と違って、物事の核心しか意識に現れない。直観は物事の具体的な姿ではなく、その核心を一挙に捉えるのである。私たちの物事の理解は、このような直観によっておおいに深められる。
(信原幸弘 『『覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性』による。一部改変)
問一 本文中のX、Yに入る語句の組み合わせとして最も適当なものを、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 Xわかる Yわかる
2 Xわからない Yわかる
3 Xわかる Yわからない
4 Xわからない Yわからない
解答 : 2
解説 :X: 本文では、「答えを見てもなお、よくXと感じることがある」とあります。これは、証明の答えはわかったはずなのに、なぜその手順になるのか納得できないという状態を指しています。したがって、「わからない」が適切です。
Y: 「答えを見れば、どの規則をどの順に適用して、前提から結論が導かれているかはYのだが」とあります。答えを見れば、手順自体は理解できるため、この部分は「わかる」が適切です。
問二 本文中の Z に入る語句として最も適当なものを、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 ところで
2 だが
3 さらに
4 なぜなら
解答 : 4
解説 :この文脈では、直前の文で述べられた「証明を構成する式(または命題)の系列を具体的に思い浮かべることは、直観によって捉えられる証明の核心ではない」という主張の理由を説明しています。
「Z、証明の核心を直観的に把握できなくても、証明をよく暗記すれば、証明の式/命題の系列を具体的に思い浮かべることは可能だからである。」
この文は、前の文の「~ではない」という理由を「~だからである」という形で提示しており、論理的な接続詞として「なぜなら」が最も適切です。
問三 次の[]の中は、本文中のよく似た点についてまとめたものである。Ⅰに入る内容を、二十五字以上、三十字以内でまとめて書きなさい。ただし、情報処理という語句を必ず使うこと。
[知覚と直観は、それぞれが形成されるときに、Ⅰという点がよく似ている。]
解答 : Ⅰ 情報処理がなされる過程は意識されず、結果だけが意識にのぼる
解説 :知覚と直観の共通点について、筆者は以下のように述べています。
知覚:「バナナの知覚が形成される過程…は、意識にのぼらない。最終的な結果であるバナナの知覚だけが意識にのぼる。」
直観:「直観においても、その形成過程は意識されず、結果だけが意識にのぼる。」
この二つの文章から、知覚も直観も、その形成過程(情報処理)は意識されず、最終的な結果だけが意識に現れる、という共通点があることがわかります。
問四 本文中のAの段落の役割について説明した文として最も適当なものを、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 書き手の考えをさらに発展させるために、これまでの段落の内容とは異なる問題を提起している。
2 書き手の考えの要点をまとめるために、これまでの段落で示したすべての具体例を整理している。
3 書き手の考えをわかりやすく示すために、書き手と同じ考えをもつ他者の意見を引用している。
4 書き手の考えに説得力をもたせるために、書き手の考えを補強する別の具体例を提示している。
解答 : 4
解説 :Aの段落は、この「核心の把握」と「具体的な内容の把握」の区別が、視覚だけでなく聴覚にも当てはまることを示しています。「運命」という楽曲の核心を瞬時に捉えることはできても、すべての音を具体的に思い浮かべるには時間がかかる、という例を提示することで、筆者の主張(直観は物事の核心を一挙に捉える)が、より広い範囲に適用されることを証明しています。
1:新しい問題を提起しているわけではありません。これまでの議論を異なる分野に適用しています。
2:すべての具体例を整理しているわけではありません。これは新しい具体例の追加です。
3:他者の意見を引用しているわけではありません。筆者自身の考えを別の例で説明しています。
4:これまでの議論(直観は核心を一挙に捉える)を、視覚的ではない別の具体例(聴覚)で補強し、説得力を高めています。これが最も適切な説明です。
問五 次の[]の中は、本文中で述べられている「直観」についてまとめたものである。アに入る内容を、本文中から六字で探し、そのまま抜き出して書きなさい。また、イに入る内容を、十五字以上、二十字以内でまとめて書きなさい。 ただし、理解という語句を必ず使うこと。
直観では、知覚と違って、物事の核心というアのみが意識に現れる。物事の核心をイ という点で、直観は非常に重要である。
解答 : ア 抽象的な内容
イ 一挙に捉え、私たちの理解が深められる
解説 :ア:本文中では、知覚と直観の違いについて、「知覚においては、物事の具体的な内容が意識に現れるのにたいし、直観では、抽象的な内容しか現れない」と明確に述べられています。
この文脈から、直観によって意識に現れるのは、物事の具体的な姿ではなく、その抽象的な内容であることがわかります。したがって、6字で抜き出すべき語句は「抽象的な内容」です。
イ:本文の最後の段落では、「私たちの物事の理解は、このような直観によっておおいに深められる」と述べられています。また、その直前の段落では、「直観は物事の具体的な姿ではなく、その核心を一挙に捉えるのである」と説明されています。
これらの内容を合わせると、直観の重要性は、「物事の核心を一挙に捉えること」によって「理解を深める」点にあることがわかります。
「直観の役割: 物事の核心を一挙に捉える。」
「その結果: 私たちの理解が深められる。」
この二つの要素を統合し、指定された文字数(15字以上20字以内)と語句(理解)の条件を満たすようにまとめると、「一挙に捉えることで理解を深める」が最も適切となります。
■大問2
⑴と⑵について答えなさい。
⑴次の【文章】を読んで、後の各問に答えなさい。句読点等は字数として数えること。
【文章】
【ここまでのあらすじ】プロ野球選手でサウスポー (左投げの投手)の窪塚夏樹は、実績を残せず所属球団から解雇された。再起をかけ全球団合同の入団テストに挑んだ夏樹は、プロ球団からの誘いを待つが連絡はない。ようやくきた誘いは、社会人野球チームからだった。割り切れない気持ちの夏樹は、入社したら勤務することになる居酒屋の徳丸水産で社長から話を聞いた翌日、トクマル野球部の練習を見学することにした。
客席に上がって、驚いた。
社会人野球チームの練習にもかかわらず、観客が数十人ほどいた。夏樹はグラウンドを見下ろした。
シート打撃という、実践形式に近い練習をしている様子だったが、あくまでただの練習だ。試合でもなければ、紅白戦でもない。にもかかわらず、観客は熱心にグラウンドの動きに視線を注いでいる。
「誰ですか、この人たち」夏樹は小声で社長に聞いた。
「地域のファンのみなさんだよ、練習のときは、いつも客席を開放してるんだ」
おそろいの青い帽子をかぶっている人が多かった。トクマルのTの文字の周囲を、筆で描いたような、勢いのある円が囲っている。徳丸の「丸」を表現しているのだろう。
「おう、社長!」近くに座っていた初老の男性が、気安げに片手をあげた。「来年こそは、都市対抗の本戦、行けるといいな」
「ありがとうございます」社長が笑顔で答えた。「頑張りますよ」
客席の階段を下りている社長に、夏樹はたずねた。
「知り合いですか?」
「いや、全然」社長は平然と答えた。「あの人は、たしか徳丸水産の北浦和店の常連さんだよ」
「そういえば、社長、①おっしゃってましたよね。店の常連さんが、野球部を応援してくれてるって」
「うちはね、ファンが気軽に会いに行ける野球部を目指してるの。トクマル野球部の存在を知ってもらう、選手の勤めてる居酒屋に飲みに行こうと思ってもらう、そこで選手と言葉を交わしてファンになってもらう、練習や試合を観に来てもっともっと応援してもらう。そして、浦和一帯の地域が活性化する。そういう幸福なサイクルを目指してるんだ」
バックネット裏まで下りていった。
ちょうどマウンドに立った男が、バッターにボールを投じるところだった。豪快なワインドアップから、一気に右腕を振り下ろす。
バッターが空振りし、キャッチャーミットの捕球音が響いた。夏樹はまたしても驚いた。おそらく、百四十キロ中盤あたりのスピードが出ている。「ナイスボール」と叫びながら、昨日、厨房に立っていた戸沢晃がピッチャーに返球する。
それにしても、グラウンドには声という声があふれていた。
打てるよ!しっかりボール見ていこう!いい球来てる、打てない打てない!さぁ、次大事だよ!
もちろん、プロの二軍時代も声を出さなかったわけじゃないが、こんなにも前向きな活気にあふれた練習風景を見るのはひさしぶりだった。全員が居酒屋での業務をこなしているはずだが、疲れはみじんも感じさせず、むしろその表現は生き生きと輝いて見えた。
痛烈な打球が飛んだり、守備側がファインプレーをしたりすると、客席から拍手や歓声がわき起こった。決して観客が多いわけではないのに、②一体感と熱気が晩秋の球場に充満している。
ピッチャーが、渾身のストレートを投じた。バッターが、バットを振る。芯を食った、かわいた音が響き、ボールが舞い上がる。選手や観客たちが、いっせいに空を見上げた。
レフトがバックし、ぴたりと背中をフェンスにつけた。しかし、あとひと伸び足りなかった。ボールはレフトのグラブにおさまった。
ため息がもれる。グラウンドには、ピッチャーを鼓舞する声、おしいおしいとバッターを励ます声があふれる。
社会人野球というのは、非常に狭い世界だと思いこんでいた。野球部を応援するのはその会社の社員だけで、プロのようなファンは存在しない、と。
しかし、トクマルの野球部は、こうして地域に開かれる。
こんなにも楽しそうにプレーができる。誰かに見てもらえる環境がノンプロの世界にもある。そして、無名のチームのはずなのに、決してレベルは低くなかった。漠然として夏樹が抱いていた社会人野球のイメージからかけ離れた現場を見て、なぜだか、うらやましいと同時になつかしいと感じてしまった。原点に帰っていくような気がしたのだ。
「社長」と、夏樹は呼びかけた。
徳丸社長が無言で振り返る。
「俺、やってみようと思います。」
社長が笑顔でうなずいた。今日もショッキングピンクのシャツがよく映えていた。
(朝倉宏景『エール 夕暮れサウスポー』による。一部改変)
問一 本文中に①おっしゃってとあるが、これと同じ種類の敬語を含む文を、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 本をいただく。
2 妹を紹介します。
3 朝食を召し上がる。
4 会場をご案内する。
解答 : 3
解説 :本文の①「おっしゃって」は、動詞「言う」の尊敬語です。
1「本をいただく」:「もらう」の謙譲語。
2「妹を紹介します」:「紹介する」に丁寧語の「ます」がついたもの。
3「朝食を召し上がる」:「食べる」の尊敬語。
4「会場をご案内する」:「案内する」の謙譲語。「ご〜する」の形。
問二 次の[ ]の中は、本文中の②一体感と熱気について、ここから読み取れる様子をまとめたものである。アに入る内容を、本文中から七字で探し、そのまま抜き出して書きなさい。また、 イに入る内容を、五字以上、十字以内でまとめて書きなさい。
[ア練習を繰り広げる選手たちと、選手のプレーに反応してイ 観客たちが、一緒になって野球を楽しんでいる様子。]
解答 : ア 活気にあふれた
イ 熱心に応援する
解説 :ア:本文中では、「こんなにも前向きな活気にあふれた練習風景を見るのはひさしぶりだった」と明記されています。これは、夏樹がプロの二軍時代と比べて、トクマル野球部の練習が非常に生き生きとしていると感じたことを示しています。したがって、「活気にあふれた」が最も適切です。
イ:観客の様子について、本文では「観客は熱心にグラウンドの動きに視線を注いでいる」と述べられています。また、選手が良いプレーをすると「拍手や歓声がわき起こった」とあり、これは単なる見学ではなく、積極的に選手たちを後押ししている様子を表しています。これらの描写から、観客は「熱心に応援する」存在であると読み取ることができます。
問三 次の[] の中は、本文中の夏樹の心情の変化についてまとめたものである。A、Bに入る内容を本文中から探し、 A は十字で、 Bは十一字で、それぞれそのまま抜き出して書きなさい。
[「にもかかわらず」、「それにしても」などの表現から、夏樹がもっていた「A」が次々とくつがえされていったことが読み取れる。夏樹の割り切れない気持ちが変化して「やってみようと思います」という決心に至ったのは、練習の見学を通して、トクマル野球部の選手がプロと同じようにBにいると知ったことも関わっている。]
解答 : A 社会人野球のイメージ
B 誰かに見てもらえる環境
解説 :A:本文で、[主人公の夏樹は「社会人野球は狭い世界だ」「ファンは存在しない」と思っていました。しかし、実際の練習を見て、多くの地域ファンが熱心に応援していることを知り、その考えが次々とくつがえされていきます。]
このことから、夏樹がもっていた「社会人野球のイメージ」という先入観が覆されたことがわかります。
B:夏樹が「やってみよう」と決心したのは、トクマル野球部の練習が楽しそうだったからです。それは、プロ野球と違い、地域の人々に「誰かに見てもらえる環境」があったからでした。
この「誰かに見てもらえる」という温かい環境が、野球を始めた頃の気持ちを思い出させ、再び野球をやるきっかけとなりました。
問四 本文の展開や表現について説明した文として最も適当なものを、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 初老の男性を登場させることで、社長の気さくな人柄やファンにとって野球部が身近であることを印象付けている。
2 語り手の視点を場面ごとに入れ替えることで、夏樹や社長の人物像を多面的に読み取りやすくする効果がある。
3 反復や「!」が付いた文を用いることによって、選手と夏樹とのやり取りが軽快に進んでいることを強調している。
4 グラウンド上の選手の描写に倒置や比喩を用いることによって、緊張感の中で練習する様子を際立たせている。
解答 : 1
解説 :1:「おう、社長!」という男性の呼びかけや、社長が「ありがとうございます」と笑顔で答える場面から、両者の間に親しみやすい関係があることがわかります。また、社長が男性を「全然」知らないと言いつつ、「常連さんだよ」と話すことで、ファンが選手や社長に気軽に話しかけられる、野球部が身近な存在であることがわかります。よって、1の選択肢はは本文の描写と一致しており、最も適切です。
2:この文章は、基本的に主人公である夏樹の視点で書かれています。夏樹が驚いたり、質問したりする様子を通して、物語が進んでいきます。そのため、複数の視点があるわけではありません。
3:本文には「打てるよ!」「いい球来てる、打てない打てない!」のように「!」がついた文がありますが、これは選手同士や観客の声援であり、夏樹と選手とのやり取りではありません。
4:選手の描写に「声という声があふれていた」という比喩はありますが、全体として「前向きな活気」「生き生きと輝いて見えた」といった言葉が使われており、練習は緊張感よりも楽しさに満ちた様子として描かれています。
⑵次は、⑴の【文章】の出典である本を紹介した【資料】で、F中学校の図書委員会が作成中の図書委員だよりの一部である。図書委員の上野さんは、【資料】を読み返し、表現や内容などを見直している。【資料】を読んで、後の各問に答えなさい。

問一 【資料】に行書で書かれた次の文字の部首の形と、次の1~4の部首を行書で書いたときの形が同じものを一つ選び、番号を書きなさい。

1 のぎへん
2 ごんべん
3 にんべん
4 ころもへん
解答 : 4
解説 :問題の文字は「社」という漢字の行書体で、部首は「しめすへん」です。この「しめすへん」の行書と同じ形になるものは、「ころもへん」です。
問二 【資料】の陥っての下線を施した漢字の読みを、平仮名で書きなさい。
解答 : おちい(って)
解説 :「陥って」の読みは、”おちい(って)”です。
問三 【資料】に A でとあるが、上野さんはこの部分に、夏樹の状況を書き加えた。 Aに入る、「一歩も退くことのできないせっぱ詰まった立場で事にあたること。」という意味の故事成語を、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 漁夫の利
2 背水の陣
3 蛍雪の功
4 他山の石
解答 : 2
解説 :背水の陣: 「一歩も退くことのできないせっぱ詰まった立場で事にあたること」という意味です。
1. 漁夫の利: 争っている二者の間から、第三者が利益を得ること。
3. 蛍雪の功: 苦労して学問に励んだ成果。
4. 他山の石: 他人のつまらない言動も、自分の人格を磨くのに役立つということ。
問四 【資料】ののぞんだ について、上野さんは漢字を使って書き直すことにした。「のぞんだ」に適切な漢字をあて、楷書で書きなさい。なお、送り仮名は平仮名で正しく送ること。
解答 : 臨んだ
解説 :問題の「のぞんだ」にふさわしい漢字は、”臨んだ”です。
問五 【資料】の言い渡されるの二重線を施した助動詞と同じ意味の助動詞を、【資料】の中から一つ探し、その助動詞を含む一文節をそのまま抜き出して書きなさい。
解答 : 見舞われながらも
解説 :【資料】の「言い渡される」は、助動詞「られる」の持つ「受身」(〜される)の意味です。
【資料】には、「予期せぬ苦難に見舞われながらも」という一文があります。この「見舞われる」は、夏樹が予期せぬ苦難を「受ける」という意味です。これもまた、助動詞「れる」(「られる」の連用形)が「受身」(〜される)の意味で使われています。
問六 【資料】に 業務の B とあるが、上野さんはこの部分に、夏樹がグラウンド上で見た選手たちの表情をより引き立たせる内容を書き加えた。 Bに入る内容を、⑴ の【文章】から十二字で探し、そのまま抜き出して書きなさい。
解答 : B 疲れはみじんも感じさせず
解説 :夏樹は、選手たちが日中の居酒屋での仕事を終えた後なのに、「生き生きとした表情」で練習していることに驚きました。これは、彼らが「疲れはみじんも感じさせず」プレーしていたからです。この部分を付け加えることで、選手の「生き生きとした表情」がさらに強調されます。
■大問3
次は、『淮南子』という書物にある話【A】と、その現代語訳【B】である。これらを読んで、後の各問に答えなさい。句読点等は字数として数えること。
【A】魯の哀公、西に宅を益さんと欲す。史之を争ひて以為らく、西に宅を益すは不祥なり、と。哀公色を作して怒り、左右数数諫むれども聴かず。乃ち以て其の傅宰折睢に①問ひて曰く、吾宅を益さんと欲するも、②史以て不祥と為す、子以て何如と為す。宰折睢曰く、天下に三不祥有り、西に宅を益すは与らず、と。哀公大いに悦ぶ。而れども喜ぶこと頃にして復た問ひて曰く、何をか三不祥と謂ふ。対へて曰く、礼義を行はざるは一の不祥なり、嗜欲止む無きは二の不祥なり、強諫を聴かざるは三の不祥なり、と。哀公黙然として深く念ひ、③隤然として自ら反し、遂に西に宅を益さず。
【B】魯の哀公が西側に住宅を増築しようとしたところ、史官は西側への増築は不祥ですと反対した。哀公は顔色を変えて怒り、左右の者が何度も忠告したが、聞き入れない。そのうち自分の守り役(家庭教師)であった宰折 に、「余は増築をしたいのだが、史官は不祥だからやめろと言う。汝はどう思うか」とたずねた。宰折 が「天下に三つの不祥がありますが、西側に増築することは、それと関係ありません」と答えると、哀公はたいそうよろこんだ。が、しばしの間よろこんでから再び、「さて三つの不祥とは何のことか」と問うと、答えていう、「礼義を行わぬことが不祥の第一、欲望のとめどもなきことが不祥の第二、たっての忠告を聞き入れぬことが不祥の第三であります」と。哀公は黙然として深く考えていたが、とどやがて柔和な顔付きになり、自ら思い直して、遂に西側への増築を思い止まった。
(『新釈漢文大系 第62巻 淮南子(下)』による。一部改変)
問一 【A】の争ひてを、現代仮名遣いに直し、全て平仮名で書きなさい。
解答 : あらそいて
解説 :「争ひて」の現代語訳は”あらそいて”です。
問二 【A】に ①問ひて曰く とあるが、その主語として最も適当なものを、次の1~4から一つ選び、番号を書きなさい。
1 哀公
2 史
3 左右
4 傅
解答 : 1
解説 :一般的に、漢文において「○○問ふ」や「○○曰く」の形で始まる文では、その直前の人名が主語となります。本文の冒頭は「哀公問於有若」であり、これは「哀公が有若に尋ねる」という意味です。したがって、「問ひて曰く」という部分の主語は、直前に登場する「哀公」となります。
問三【A】の ②史以て不祥と為す という書き下し文になるように、解答欄の漢文の適当な箇所に、返り点を付けなさい。
解答 :
解説 :※解答と同様の為省略。
問四 【A】に③隤然としてとあるが、これと対照的な内容を表す部分を、【A】から七字で探し、そのまま抜き出して書きなさい。
解答 : 色を作して怒り
解説 :漢文の「隤然として」は、堤防が崩れるように感情が抑えきれず、涙を流す様子を指します。この言葉は、非常に強い感情の表出を表しています。
これと対照的な内容を探すと、本文の冒頭に、史官の忠告を聞いた哀公が「色を作して怒り」とある部分が該当します。「色を作る」とは顔色を変えることで、「怒り」という強い感情を表に出す様子です。
したがって、「感情が抑えきれずにあふれ出る」様子を表現する「隤然として」と、同じく感情を激しく表出させる「色を作して怒り」は対照的な内容として適切です。
問五 次の[ ]の中は、【A】と【B】を読んだ川口さんと本田さんと先生が、会話をしている場面である。
[川口さん:哀公は「三不祥」の話を聞いて「ア」という判断をしました。私は、哀公が「三不祥」の話をどのように受け止めてその判断をしたのか知りたいと思いました。
本田さん:「三不祥」の話を聞いた哀公は、自分が臣下に対して礼を欠いた態度を取ったことや、自分の願望に執着してイことを振り返り、これらの言動が「三不祥」に当てはまると受け止め、君主としての振る舞い方を考え直しています。
川口さん:なるほど。だから哀公は「三不祥」の話を聞いて「ア」という判断をしたのですね。哀公に考えを改めさせるという点でいえば、史官や左右の者は失敗し、宰折睢は成功していると思います。
本田さん:そうですね。宰折睢は、史官と違って哀公の考えをウ言い方を避け、かたくなになった哀公が冷静に自分を省みて考えを改めるよう、巧みに導いていると思います。
先生:二人とも、登場人物の言動の意味に着目して、【A】の内容について深く考えることができましたね。]
⑴アに入る内容を、【A】から七字で探し、そのまま抜き出して書きなさい。
⑵イに入る内容を、十字以上、十五字以内でまとめて書きなさい。ただし、臣下という語句を必ず使うこと。
⑶ウに入る内容を、五字以内で考えて書きなさい。
解答 : ⑴ア 西に宅を益さず
⑵イ 臣下の忠告を聞き入れなかった
⑶ウ 否定する
解説 :(1) ア:川口さんが言う「アという判断」は、哀公が「三不祥」の話を聞いた後の行動を指しています。本文の【A】の最後には、哀公が「三不祥」の話を聞き、深く反省した結果、「遂に西に宅を益さず」という最終的な決断を下したと書かれています。
(2) イ:本田さんの台詞は、哀公が「三不祥」の話を聞いて自分の言動をどう反省したかを説明しています。「三不祥」の一つは、「強諫を聴かざるは三の不祥なり」でした。哀公は史官や左右の臣下の度重なる忠告を怒って聞き入れなかったことを振り返り、反省したのです。したがって、「臣下の忠告を聞き入れなかった」が適切です。
(3) ウ:本田さんは、史官と宰折睢の説得方法の違いに言及しています。史官は「不祥なり」と哀公の考えを正面から否定しました。これに対し、宰折睢は直接否定せず、哀公を冷静にさせてから遠回しに「三不祥」の話をすることで、自ら気づかせるように促しました。この対比から、史官がとった方法は「否定する」だったことがわかります。
■大問4
石田さんの学級では、次の【資料】を基に、日本語の魅力について考えを述べることになった。あなたならどのような考えを 述べるか。【資料】を読んで、後の条件1から条件5に従い、作文しなさい。
【資料】(※図4)
条件1 文章は、二段落構成とし、十行以上、十二行以内で書くこと。
条件2 第一段落には、【資料】のA~Gの項目から一つ選び(どれを選んでもかまわない。)、選んだ項目の全体と16~19歳の回答結果を比較して分かることと、それについてあなたが考えたことを書くこと。なお、項目はA~Gの記号で示すこと。
条件3 第二段落には、第一段落を踏まえ、日本語の魅力についてのあなたの考えを、自分の知識や経験と結び付けて書くこと。
条件4 題名と氏名は書かず、原稿用紙の正しい使い方に従って書くこと。
条件5 グラフ等の数値を原稿用紙に書く場合は、左の例にならうこと。
例(※図5)

解答 : ※作文のため省略
解説 :条件に従って作文しましょう。
