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令和7年度_学力検査問題過去問【宮城】- 理科
■目次
大問1
大問2
大問3
大問4
大問5
■大問1
1-1(1):第一問 次の1~4の問いに答えなさい。
1 健太さんは、壁に固定されている平らな鏡を使って、鏡に像がうつるようすを観察しました。次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
(1) 鏡に物体の像がうつって見えるのは、物体から出た光が鏡ではね返り、目に届くためです。このように、光が鏡ではね返る現象を何というか、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア光の直進 イ光の透過 ウ光の屈折 エ光の反射
解答 : エ
解説 : 光が鏡などの表面に当たってはね返る現象は、光の反射といいます。
ア 光の直進: 光がまっすぐ進む現象です。
イ 光の透過: 光が物体を通り抜ける現象です。
ウ 光の屈折: 光が異なる物質の境界面で進行方向を変える現象です。
エ 光の反射: 光が鏡などで跳ね返る現象で、鏡に像がうつる原因です。
1-1(2):(2) 図1は、光源装置から出た光が鏡ではね返るようすを、真上から見たものです。
図1の矢印(←)は、光の道すじと向きを示しています。光源装置から出た光の入射角を、図1のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
図1

解答 : ウ
解説 : 入射角とは、鏡に入射する光と、鏡の面に垂直な線との間につくる角のことです。
図1において、光源装置から出て鏡に入射する光の道すじは右下から左上に進む光線です。
この入射光と、鏡の面に垂直な線(点線)との間の角は、ウ で示されています。
1-1(3):(3) 健太さんは、自分より後ろ側の、どの位置に立っている友人の像が鏡にうつって見えるかを調べました。図2は、このようすを真上から見たときの、健太さんと鏡の位置、3人の友人が立っている位置A ~Cを、模式的に表したものです。健太さんには、どの位置に立っている友人の像が鏡にうつって見えるか、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、 記号で答えなさい。
ただし、図2の矢印 (←)は、 鏡の端から健太さんに届く光の道すじと向きを示しています。また、鏡は友人の像がうつる十分な高さがあるものとします。
図2

ア AとB イ BとC ウ AとC エ AとBとC
解答 : イ
解説 : 健太さんが鏡を通して見ることができる範囲は、「鏡の両端」と「健太さんの虚像の位置」を結んだ直線の間になります。
健太さんの虚像の位置を把握する鏡にうつる像は健太さんと鏡に対して線対称の位置(鏡の面から同じ距離)にできます。
鏡の両端から虚像へ線を引くと、2本の直線が、鏡の向こう側の世界(友人たちがいる側)で、健太さんが見ることができる視界の境界線になってきます。
図2の矢印(光の道すじ)は、すでに鏡の両端と健太さんの目を結んでいます。
これらの矢印の線を、鏡の裏側(友人側)にまっすぐ延長します。これが健太さんの視界の境界線です。
左側の境界線を延長すると、位置Aの右側を通り、Bを横切り、Cに達する前にCの左側を通過し、右側の境界線を延長すると、Cの左側を通過します。
したがって、2本の境界線の間に位置しているのは、BとCです。
※位置Aは左側の境界線よりも外側(左側)にあるため、鏡にうつって見えません。位置BとCは、2本の境界線の間にあるため、鏡にうつって見えます。
1-2(1):2 図3は、ある学校で見られた4種類の植物を観察し、スケッチしたもの 図3 です。次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
図3

(1) イチョウのように、胚珠がむき出しになっているつくりをもつ植物を 何というか、答えなさい。
解答 : 裸子植物
解説 : イチョウは、花にある胚珠が子房に包まれずにむき出しになっているのが特徴で、このような植物は裸子植物に分類されます。サクラのように胚珠が子房に包まれている植物は被子植物と呼ばれます。
1-2(2):(2) イヌワラビの特徴を述べたものとして、最も適切なものを、次のア~ エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア主根と側根がある。 イ 地下茎がある。 ウ雌株と雄株がある。 エ花に花弁がある。
解答 : イ
解説 : イヌワラビはシダ植物に分類されます。
イ 地下茎がある。:シダ植物は、地中に地下茎をもち、そこから根と葉が出ています。これがシダ植物の一般的な特徴です。
ア 主根と側根がある。:これは主に双子葉類の植物の特徴です。
ウ 雌株と雄株がある。:これはイチョウなどの裸子植物や、ゼニゴケなどのコケ植物に見られる特徴です。
エ 花に花弁がある。:これはサクラなどの被子植物の特徴です。
1-2(3):(3) 図4は、観察した植物を、ある共通点をもとにして分類したものです。a に入る語句として、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア胞子 イ種子 ウ果実 工花粉
図4

解答 : ア
解説 : 「aをつくる」
イヌワラビとゼニゴケはそれぞれシダ植物とコケ植物です。
シダ植物とコケ植物は、胞子によって増える植物なので、このグループは「胞子をつくる」植物の共通点を持っています。
「a をつくらない」
イチョウとサクラは、種子によって増える植物であり、一般的な意味で子孫を残すための胞子は作りません(厳密には花粉や胚珠の中で形成されますが、コケやシダのように放出され成長する胞子とは異なります)。したがって、このグループは「胞子をつくらない」植物の共通点を持っています。
1-3(1):3 金属と水溶液の反応について調べた実験について、あとの(1)~(3)の問いに答えなさい。
〔実験〕
1 亜鉛、マグネシウムの2種類の金属片と、硫酸亜鉛水溶液、硫酸マグネシウム水溶液、硫酸銅水溶液の3種類の水溶液を用意した。
2 紙に金属片と水溶液を入れる場所を示した表をかき、表の上にマイクロプレートを置いた。
3 図5のように、2の表に合わせてマイクロプレート のそれぞれの穴に金属片と金属片がひたる量の水溶液を入れて、金属片の表面のようすを観察し、結果を表 1にまとめた。
図5

表1

(1) 硫酸亜鉛は、水にとけて陽イオンと陰イオンに分かれる物質です。硫酸亜鉛のように、水にとけて陽イオンと陰イオンに分かれる物質を、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア酸素 イショ糖 ウエタノール エ水酸化ナトリウム
解答 : エ
解説 : 水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれる物質を電解質といいます。
エ 水酸化ナトリウム: 水に溶けると、ナトリウムイオンと水酸化物イオンに分かれる電解質です。
ア 酸素: 水に溶けてもイオンに分かれない非電解質の気体です。
イ ショ糖: 水に溶けても分子のままでイオンに分かれない非電解質です。
ウ エタノール: 水に溶けても分子のままでイオンに分かれない非電解質です。
1-3(2):(2) 表1の下線部①のように、マグネシウムの金属片と硫酸亜鉛水溶液の反応では、マグネシウム の金属片に灰色の固体が付着しました。このとき水溶液中の亜鉛イオンに起こったことを述べた ものとして、最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 亜鉛イオンが電子を2個失った。
イ亜鉛イオンが電子を2個受けとった。
ウ亜鉛イオンが陽子を2個失った。
エ亜鉛イオンが陽子を2個受けとった。
解答 : イ
解説 : 硫酸亜鉛水溶液にマグネシウムを入れると、マグネシウムの方が亜鉛よりもイオンになりやすいため、反応が起こります。
・マグネシウムは、イオンになって水溶液中に溶け出し、電子を放出します。
Mg→Mg²⁺+2e⁻
・水溶液中の亜鉛イオンは、マグネシウムから放出された電子を受け取り、元の金属の亜鉛に戻ってマグネシウムの表面に付着します。この付着した金属亜鉛が「灰色の固体」です。
Zn²⁺+2e⁻→Zn
亜鉛イオンが、電子を2個受け取って、電荷のない亜鉛原子に変化しました。したがって、最も適切な記述は「亜鉛イオンが電子を2個受けとった」です。
※陽子の数は、原子がイオンになっても変化しないため、ウとエは不適切です。
1-3(3):(3) 新たに用意した銅の金属片を、硫酸亜鉛水溶液に入れたときに観察されるようすを述べたもの として、最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア銅の金属片の表面に灰色の固体が付着する。 イ硫酸亜鉛水溶液の色が青くなる。ウ 銅の金属片の表面に赤色の固体が付着する。 エ 変化が見られない。
解答 : エ
解説 : イオン化傾向は、Mg >Zn>Cuの順です。金属と水溶液中のイオンを比べたとき、金属の方がイオン化傾向が大きい場合に、金属が溶け出してイオンになり、水溶液中のイオンが電子を受け取って金属として析出する反応が起こります。
今回は、金属銅を、亜鉛イオンを含む硫酸亜鉛水溶液に入れます。イオン化傾向はZn>Cuなので、水溶液中の亜鉛イオンの方が、金属銅よりもイオンになりやすいです。したがって、銅はイオンになろうとせず、亜鉛イオンも金属として析出することができません。結果として、化学反応は起こらず、変化は見られません。
1-4(1):4 明日香さんは、発生した地震ごとに、ゆれの大きさやゆれが観測される範囲に違いがあることに 疑問をもち、震央が神奈川県内であった地震について調べ、表2にまとめました。あとの(1)~(3)の 問いに答えなさい。
表2

(1) 地震によるゆれのうち、P波が伝えるゆれを何というか、答えなさい。
解答 : 初期微動
解説 :
・P波 (初期微動) は、地震波の中で最も速く伝わる波で、最初に到達し、小さなゆれをもたらします。
・S波 (主要動) はP波の後に到達し、大きなゆれをもたらします。
地震のゆれは、P波による初期微動と、S波による主要動の2つに分けられます。
1-4(2):(2) 表2からわかることについて述べた次の文章の内容が正しくなるように、①のア、イ、②のウ、 エからそれぞれ1つ選び、記号で答えなさい。
震源の深さが同じ地震では、マグニチュードの値が大きい地震のほうが、ゆれが観測され る範囲は① (ア広い イせまい)。マグニチュードの値が同じ地震では、震源が深いほう が、最大震度が② (ウ 大きい 工 小さい)。
解答 : ①ア ②エ
解説 : 表2より、マグニチュードが大きいほど、ゆれを伝える範囲は広くなることがわかります。また、震源が深いほど、観測地点までの距離が遠くなるため、ゆれが伝わる間に弱まり、最大震度は小さくなることも分かります。
1-4(3):(3) 明日香さんは、地震がプレートの境界付近で起こりやすいことを知り、調べを進める中で、図6と図7を見つけました。図6は、太平洋を囲む地域のプレートの境界を太い線 (―)で表し たものです。図7は、2007年から2023年の間に発生した地震の震央の位置を丸(・)で表したものです。このように、プレートの境界に沿って地震が多く発生する理由を、簡潔に述べなさい。
図6,7

解答 : (例)プレートの境界では、プレートの動きによってひずみがたまりやすいため。
解説 : 図6より、地球の表面は、いくつかのプレートという固い岩盤でおおわれていますことが分かります。
これらのプレートは常にゆっくりと動いています。そして、プレート同士が接する境界では、プレートが沈み込んだり、横にずれたり、押し合ったりするため、岩盤に大きなストレス(ひずみ)が集中してたまります。
このひずみが限界に達すると、岩盤が急激に破壊され、そのエネルギーが地震波として放出されます。(図7)
したがって、地震は、プレートの安定した内部ではなく、力が集中する境界付近で多く発生します。
■大問2
2-1:第二問炭酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムを加熱したときの変化を調べた実験と、炭酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムが混合された入浴剤の成分の割合を調べた実験Ⅱについて、あとの1~ 5の問いに答えなさい。
〔実験Ⅰ〕
1 かわいた試験管A~Dを用意し、試験管A、Bには炭酸水素 ナトリウムを1gずつ入れ、試験管C、Dには塩化ナトリウムを1gずつ入れた。
炭酸水素ナトリウム 試験管A ガラス管 ゴム管 石灰水
2 図のような装置で、試験管Aを十分に加熱し、試験管の中の ようすと石灰水の変化を観察した。次に、試験管を試験管Cにかえ、同様の操作を行った。観察した結果を表1にまとめた。
3 装置から取りはずした試験管A、Cと、試験管B、Dに、水を5cmずつ入れ、それぞれの試験管にフェノールフタレイン溶液を加えたときの色の変化を観察し、表2にまとめた。
図

表1

表2

〔実験Ⅱ] 蒸発皿E~Gを用意し、蒸発皿Eには炭酸水 表3 素ナトリウム1.68g、蒸発皿Fには塩化ナトリウム1.68g、 蒸発皿Gには炭酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムが混 合された入浴剤5.00gを入れ、それぞれ十分に加熱した。 加熱後の蒸発皿E~G内の物質の質量をはかり、加熱前 の物質の質量とともに表3にまとめた。
表3

1 実験Ⅰの2で、図のように試験管の口を下に傾けて加熱する理由を述べたものとして、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 試験管に入れた物質と空気をふれやすくして、気体を発生しやすくするため。
イ発生した気体が、他の物質と反応しないようにするため。
ウ発生した液体が、試験管の底へ流れて試験管が割れないようにするため。
エ石灰水が、ガラス管とゴム管を通って試験管に逆流しないようにするため。
解答 : ウ
解説 : 炭酸水素ナトリウムを加熱すると、分解して水が発生します。
問題の図のように試験管の口をわずかに下へ傾けることで、加熱によって発生した水蒸気が冷えてできた水滴が、加熱している部分ではない試験管の口の方へ流れ落ちます。
水が熱い試験管の底へ逆流して急に冷やされると、試験管が割れてしまう危険があります。これを防ぐために、口をわずかに下に傾けます。
よって、最も適切な理由は「ウ 発生した液体が、試験管の底へ流れて試験管が割れないようにするため」です。
エは、加熱をやめる際の操作(ガラス管を石灰水から抜く)で逆流を防ぐのが主な理由です。加熱中は発生する気体が逆流を防ぎます。
ア、イは、実験の目的や安全性とは直接関係ありません。
2-2:2 実験Ⅰの表1で、試験管Aの口に見られた無色の液体が、水であることを確認するために用いるものとして、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 青色リトマス紙 イ塩化コバルト紙 ウベネジクト液 エ BTB溶液
解答 : イ
解説 : 塩化コバルト紙(イ)は、水に触れると青色から赤色またはピンク色に変化する性質を持つ試験紙です。この性質を利用して、生成物が水であることを確認できます。
アの青色リトマス紙は酸性かアルカリ性を調べるためのもので、水(中性)では色が変わらないため、水の確認には使えません。
ウのベネジクト液は加熱することで糖を検出するために使います。
エのBTB溶液は水溶液の液性(酸性、中性、アルカリ性)を調べるための指示薬です。
2-3:3 実験Ⅰの表1で、試験管Aを加熱したときに石灰水を白くにごらせた物質と同じ物質を発生させる方法として、最も適切なものを、次のア~工から1つ選び、記号で答えなさい。
ア貝がらにうすい塩酸を加える。 イ 二酸化マンガンにオキシドールを加える。 ウ スチールウールにうすい塩酸を加える。 エ アンモニア水を加熱する。
解答 : ア
解説 : 実験Ⅰの表1より、試験管A(炭酸水素ナトリウム)を加熱したとき、出てきた気体は石灰水を白くにごらせています。石灰水を白くにごらせるのは二酸化炭素です。
ア 貝がらにうすい塩酸を加える:貝がらに塩酸を加えると、二酸化炭素が発生します。
イ 二酸化マンガンにオキシドールを加える:オキシドールの分解を二酸化マンガンが触媒し、酸素が発生します。
ウ スチールウールにうすい塩酸を加える:スチールウールが塩酸と反応し、水素 が発生します。
エ アンモニア水を加熱する:アンモニアが水に溶けているアンモニア水から、アンモニアガスが発生します。
2-4:4 実験Ⅰの表2で、試験管Aの水溶液のpHの値をa、試験管Bの水溶液のpHの値をb、試験管C の水溶液のpHの値をCとします。これらのpHの値の大きさの関係を不等号を用いて表したものと して、最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
アa
解答 : イ
解説 : pHは、値が小さいほど酸性が強くpH7が中性、値が大きいほどアルカリ性が強くなります。
試験管C: 塩化ナトリウムを水に溶かしています。塩化ナトリウムは中性の塩なので、pHは7に近いです。
試験管A: 炭酸水素ナトリウムを加熱した後の物質を水に溶かしています。加熱により炭酸水素ナトリウムは分解し、主に炭酸ナトリウムが生成します。炭酸ナトリウムは強いアルカリ性を示します。試験管B: 炭酸水素ナトリウムをそのまま水に溶かしています。炭酸水素ナトリウム水溶液は弱アルカリ性を示します。
pHの値は、アルカリ性が強いほど大きくなるため、pHの大きさの関係は次のようになります。c
2-5:5 実験Ⅱで使用した入浴剤5.00gに対する、入浴剤にふくまれていた塩化ナトリウムの質量の割合は何%か、求めなさい。
解答 : 16%
解説 : 炭酸水素ナトリウムの元の質量は、1.68gです。減少した質量は1.68 – 1.06=0.62gとなります。
したがって、1.68 gの炭酸水素ナトリウムは、加熱すると0.62g軽くなる、ということが基準になります。
入浴剤全体の減少量は5.00- 3.45=1.55gなので、
入浴剤に含まれていた炭酸水素ナトリウムの質量をxとすると
x/1.68=1.55/0.62
x=4.20g
つまり、入浴剤5.00 gのうち、炭酸水素ナトリウムは4.20 gです。
塩化ナトリウムの質量は5.00-4.20=0.8
0.8/5.00×100=16%
■大問3
3-1:第三問表は、寒冷前線が宮城県を通過した日に、宮城県内のある地点A~Cで観測された、 午前3時から正午までの気象データをまとめたものです。図1は、同じ日の午前3時の日本付近の天気図の一部、図2は、同じ日の正午の日本付近の天気図の一部です。次の1~5の問いに答えなさい。
1 表の地点における、午前3時の天気はくもりで風力は4でした。地点Aにおける午前3時の天気、風力、風向を表す天気図の記号を、解答用紙の図にかき入れなさい。
表

図1、図2

解答 : 
解説 : 天気は「くもり」なので、円の中心を二重丸で塗ります。
風向は「南」なので、下に線をひきます。
風力は4なので、風向を示す線に4本線をつけます。
3-2:2 表から、寒冷前線が地点Aを通過したと考えられる時間帯として、最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア午前5時から午前6時の間
イ 午前7時から午前8時の間
ウ 午前9時から午前10時の間
エ午前11時から正午の間
解答 : ウ
解説 : 寒冷前線が通過すると、気温が急に下がり、風向が急激に南寄りから北寄りへ変わるのが主な特徴です。
表より、午前9時までは、前線より暖かい空気の影響で、南風が吹いています。午前10時には、冷たい空気に覆われたため、気温が下がり、風向が北寄りに変わっています。この急激な変化は、午前9時から午前10時の間に寒冷前線が通過したことを示しています。
3-3:3 図3に示す x~zは、表の気象デ ータを観測した地点A~Cのいずれかを表しています。図3のx~zに対応する地点の組み合わせとして、最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
図3

ア 地点B y – 地点A z – 地点C
イ 地点C y – 地点A z – 地点B
ウ 地点A y – 地点C z – 地点B
工 地点B y – 地点C z – 地点A
解答 : エ
解説 : 寒冷前線は、図の左下(南西)から右上(北東)に向かって移動します。そのため、前線は南西側にある地点から順に通過します。
南西→x→y→z→北東
最も早く前線が通過した地点が、最も南西にあるxに対応します。
表より、前線が通過した時間帯を順に並べると、
地点Bが午前5時から6時の間、地点Aが午前9じから10時の間、地点Cが午前11時から正午の間となるので、
B→A→C。
3-4:4 図1の天気図中に示した線P-Qに沿った断面での、前線面付近の気団の動きを矢印()で模式的に表したものとして、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
選択肢
解答 : ア
解説 : 図1で、線P-Q は寒冷前線を横切っています。寒冷前線は南西側(図の左下)から北東側(図の右上)に向かって移動しています。したがって、断面図の左側がPで前線の後方(寒気側)、右側がQで前線の前方(暖気側)になります。
寒冷前線では、重い寒気が軽い暖気の下に潜り込みながら、暖気を急激に押し上げて進みます。
・P側(寒気)の動き: 寒気は暖気の下へ潜り込み、前線面に向かって進みます。
・Q側(暖気)の動き: 寒気に押し上げられ、前線面付近で強く上昇します。
したがって、P側の寒気が潜り込み、Q側の暖気が押し上げられて上昇しているアが正しい断面図です。
3-5:5 図2の天気図では、寒冷前線が温暖前線に追いついて閉そく前線ができています。図4は、図2に示した線R-Sに沿った断面を模式的に表したものです。図4のような断面となる理由を、前線面をつくる気団の寒暖の違いにふれながら、簡潔に述べなさい。
図4

解答 : (例)寒冷前線側の寒気は、温暖前線側の寒気よりもあたたかいので、温暖前線の前線面の上へはい上がって進むため。
解説 : ※模範解答を少し詳しくした内容をここでは記述していきます。
寒冷前線側の寒気が、温暖前線の前方にあった寒気よりもあたたかい(軽い)ため、追いついた寒気が温暖前線の前方の寒気の上をはい上がり、その間にある暖気を上空へ持ち上げたため。
■大問4
4-1:第四問力のつり合いを調べた実験について、あとの1~4の問いに答えなさい。ただし、板とばねばかりの間にはたらく摩擦、糸の重さやのびは考えないものとします。また、ばねばかりは水平に置いたときにONを示すように調整してあります。
〔実験〕
1 水平に置いた板に基準線を引いた。P点で糸a~cを結び、ばねばかりAに糸a、ばねばかりBに糸b、ばねばかりCに糸を取り付け、ばねばかりA~Cを水平になるように板の上に置いて、装置を組み立てた。
2 図1のように、糸cを基準線に重ね、糸aと基準線のなす角の大きさをX、糸bと基準線のなす角の大きさをYとし、XとYがそれぞれ30°、ばねばかりCが示す値が10Nになるように、ばねばかりA~Cを水平に引いて静止させた。このとき、ばねばかりA、Bが示す値をそれぞれ 記録した。
3 XとYをともに10°ずつ、40°から70°まで変化させた。XとYを変化させるたびに2と同様の 操作を行った。
4 2、3の結果を、表にまとめた。
図1

表

1 ばねばかりに使われているばねには、のばすともとの長さにもどろうとする力が生じます。このように、力によって変形した物体がもとにもどろうとして生じる力を何というか、答えなさい。
解答 : 弾性力
解説 : 力によって変形した物体がもとにもどろうとして生じる力は、弾性力といいます。
4-2:2 図2は、3でXとYがそれぞれ60°のときに、糸a、bがP点に加える力をそれぞれ力の矢印で表したものです。2力の合力を、解答用紙の図に力の矢印で表しなさい。ただし、解答用紙の図の1目盛りは5Nの力の大きさを表すものとします。
図2

解答 : 
解説 : 合力の大きさ: 10N目盛りの対応: 問題の指定により、1目盛りは5Nです。
矢印の長さ:10Nは5Nの2倍なので、合力の矢印は 2目盛りの長さになります。
したがって、P点から、糸cと同じ向きに2目盛りの矢印を描きます。
4-3:3 実験で、P点にはたらく力について述べたものとして、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
アXとYにかかわらず、P点にはたらく力の合力は10Nである。
イ XとYを大きくすると、P点にはたらく合力の大きさは大きくなる。
ウ XとYを大きくすると、糸がP点に加える力の基準線に平行な分力の大きさは小さくなる。
エXとYを大きくしても、糸bがP点に加える力の基準線に平行な分力の大きさは一定である。
解答 : エ
解説 : この実験では、P点は常に静止しています。静止しているということは、糸a、糸b、糸cの3つの力の合力が0Nであるということです。したがって、糸aと糸bの2力の合力は、糸cの力とつり合っていることになります。実験の条件より、糸cの力は常に10N(左向き)です。つまり、糸aと糸bの合力は常に10N(右向き)で一定です。
4-4(1):4 図3のように、1の装置を用いて、糸cを基準線に重ね、Xが90°、Yが30°、ばねばかりAが示す値が10Nになるように、ばねばかりA~Cを水平に引いて静止させました。次に、糸cを基準線に重ねたまま、ばねばかりAが示す値とXを変えないように、Yを30°から90°になるまでゆっく りと変化させました。あとの(1)、(2)の問いに答えなさい。
図3

(1) Yを30°から90°になるまで変化させたときの、ばねばかりB、Cが示す値について述べた次の文の内容が正しくなるように、①のア、イ、②のウ、エからそれぞれ1つ選び、記号で答えなさい。
ばねばかりBが示す値は① (ア 大きくイ小さく)なり、Yが90°になったところで、 ばねばかりCが示す値は② (ウ 0N エ 10N)になる。
解答 : ①イ ②ウ
解説 : ①糸aはx=90で鉛直上向きに10Nで引いています。P点の鉛直方向のつり合いを保つには、糸bの鉛直下向きの分力も 10Nでなければなりません。
ばねばかりBの値k×sin Y = 10N
角度Yを30から90に大きくするとsinYの値は大きくなります。
Y=30のとき:sin30 = 0.5[B = 10 / 0.5 = 20N]
Y=90のとき:sin90 = 1.0[B= 10 / 1.0 = 10N]
Bの値は20N→10Nと小さくなるため、①はイです。
②ばねばかりCの値はP点の左右方向のつり合いを保つ力です。
ばねばかりCの値= (糸aの右向き分力) + (糸bの右向き分力)
糸aの分力: X=90(真上)なので、水平方向の分力は0Nです。
糸bの分力:ばねばかりBの値×cos Y
したがって、Cの値は糸bの右向き分力に等しくなります。
ばねばかりCの値= ばねばかりBの値×cos Y
Yが90になるとcos 90 = 0 です。ばねばかりCの値={ばねばかりBの値×0=0N
Cの値は0N になるため、②はウです。
4-4(2):(2) ばねばかりBが示す値が12.5Nのとき、ばねばかりCが示す値は何Nになるか、求めなさい。
解答 : 7.5[N]
解説 : ばねばかりAはX=90なので、真上に10Nで引いています。P点の上下のつり合いから、糸bの下向きの分力は 10N でなければなりません。糸bの下向き分力 =ばねばかりBの値}×sin Y = 10NばねばかりBの値が12.5Nなので、12.5× sin Y = 10sin Y == 0.8
三平方の定理より、
cos² Y = 1 – (0.8)² = 1 – 0.64 = 0.36
cos Y = 0.6
ばねばかりC の力は、糸aと糸bの右向き分力の合計とつり合います。糸aは真上なので、右向きの分力は0Nです。よって、ばねばかりCの値は、糸bの右向き分力に等しくなります。
ばねばかりCの値=ばねばかりBの値×cos Y
ばねばかりCの値= 12.5×0.6 =7.5N
■大問5
5-1:第五問信二さんは、水中の小さな生物について観察を行いました。観察されたようすについて調べを進め、まとめを作成しました。あとの1~5の問いに答えなさい。
[観察〕
① 近くの川でれきや砂を採集した。採集したれきや砂を水槽の底に入れ、くみ置きしておいた水道水を入れた。
② 水槽の水をとり、顕微鏡で観察したところ、図のようなケイソウ、ミジンコなどの小さな生物が見られた。ミジンコの体内には、中の色が緑色に見える器官があった。
③ 水槽を明るい場所に置き、1週間水槽内のようすを観察し、観察されたようすを表にまとめた。
[まとめ] ・水槽の水が緑色ににごったのは、ケイソウなどの植物プランクトンが増加したことによるものであることがわかった。
・水槽の底に見られた白っぽい小さな粒は、ミジンコが有性生殖を行い、産んだ受精卵であることがわかった。
・ミジンコの体内で緑色に見えた器官は腸であり、ミジンコがケイソウなどの植物プランクトンを食べたため緑色をしていたことがわかった。
図

表

1 顕微鏡の使い方として、最も適切なものを、次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
アピントを合わせる前に、対物レンズを最も高倍率のものにする。
イ ピントを合わせる前に、接眼レンズをのぞきながら、プレパラートに対物レンズを近づける。
ウ接眼レンズをのぞきながら、プレパラートから対物レンズを遠ざけてピントを合わせる。
エ視野が暗いとき、明るくするには、接眼レンズを高倍率のものにかえる。
解答 : ウ
解説 :
ア ピントを合わせる際は、まず最も低倍率の対物レンズで全体像を探します。高倍率では視野が狭く暗いため、最初から高倍率にすると観察が困難です。
イ 対物レンズをプレパラートに近づける際は、必ず横から見て行います。接眼レンズをのぞきながら行うと、レンズやプレパラートをぶつけて破損させる危険があります。
ウ 接眼レンズをのぞきながら、レンズを遠ざける操作でピントを合わせるのは、標本やレンズの破損を防ぐための正しい手順です。
エ 視野が暗いときは、反射鏡や絞りを調節して光の量を増やします。接眼レンズを高倍率にしても、視野は逆に暗くなります。
5-2:2 ミジンコのように、器官をもち、複数の細胞からなる生物を何というか、答えなさい。
解答 : 多細胞生物
解説 : ミジンコのように、器官をもち、複数の細胞からなる生物を多細胞生物といいます。
生物は、細胞の数によって単細胞生物と多細胞生物に分けられます。
5-3:3 下線部に関することを述べたものとして、最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で 答えなさい。
ア 生殖細胞の染色体の数は受精卵の半分である。
イ精子は体細胞分裂によってつくられる。
ウ受精卵は減数分裂によって細胞の数をふやす。
工精子の染色体の数は受精卵と同じである。
解答 : ア
解説 :
ア:受精卵は、両親の生殖細胞が合体してできるため、生殖細胞の染色体の数は体細胞の半分でなければなりません。これは、生殖細胞が減数分裂によって作られるためです。
イ:精子や卵などの生殖細胞は、染色体の数を半分にする減数分裂によってつくられます。体細胞分裂は、受精卵が成長する過程や、体細胞が増える際に起こる分裂です。
ウ:受精卵が細胞の数をふやし、個体として成長していく過程は、体細胞分裂によって行われます。減数分裂は生殖細胞をつくるための分裂です。
エ:受精卵は親の体細胞と同じ数の染色体をもち、精子や卵はその半分の数をもちます。精子と卵が合体して受精卵になります。
5-4:4 信二さんが作成したまとめから、ケイソウとミジンコの生態系における役割について述べた次の 文章の内容が正しくなるように、①のア、イ、②のウ、エからそれぞれ1つ選び、記号で答えなさい。
ケイソウは光合成で有機物をつくる① (ア分解者 イ 生産者)である。また、ミジンコは ケイソウを食べて有機物を得る② (ウ 生産者 エ消費者)である。
解答 : ①イ ②エ
解説 :
・生産者: 無機物から光合成によって有機物を合成する生物。例: ケイソウなどの植物プランクトン、植物。
したがって、①は生産者(イ)が正しいです。
・消費者: 生産者が作った有機物を食べることで栄養分を得る生物。例: ミジンコ、魚、動物。
したがって、②は消費者(エ)が正しいです。
・分解者: 生物の遺骸や排出物を分解し、無機物に戻す生物。例: カビ、キノコなどの菌類、細菌。
5-5:5 ある湖において、植物プランクトンが大量に発生して水がにごったため、生態系を考慮した上で、ミジンコを食べる魚Aを減らすことを目的に、魚Aを食べる魚Bを湖に放流したところ、湖の透明度が高くなりました。湖に魚Bを放流してから湖の透明度が高くなるまでの間に、魚A、ミジンコ、 植物プランクトンの数量がどのように変化したかを、食物連鎖の関係をもとにして、簡潔に述べなさい。
解答 : (例)魚Bを放流したことにより、ミジンコを食べる魚Aが減り、植物プランクトンを食べるミジンコの数がふえ、植物プランクトンの数が減った。
解説 : これは、生態系における食物連鎖が、上位の生物から下位の生物へと連鎖的に影響を及ぼす現象です。
植物プランクトン(生産者)→ミジンコ(一次消費者)→魚A(二次消費者)→魚B(三次消費者)
魚Bの増加:魚は魚Aを食べるため、魚Bが増えると、捕食される魚Aの数は減ります。
ミジンコの増加:魚Aが減ると、魚Aに食べられるミジンコの数がふえます(捕食者が減ったため)。
植物プランクトンの減少:ミジンコが増えると、ミジンコに食べられる植物プランクトンの数が減ります。植物プランクトンが減った結果、水の濁りがなくなり、湖の透明度が高くなりました。
