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2025年度 沖縄県公立高校入試問題過去問- 国語


■目次 


大問1
大問2
大問3
大問4
大問5






■大問1



問題文:次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。


※ルビがふってあった漢字は、漢字の後ろに括弧に入れて読みを書いています。
※波線部分も、同じように傍線で示しています。

 佐吉(さきち)は寝勝手(ねがって)(※1)をかえて、仰向きを横向きにしたが、首だけを少しよじって、下側になるほうの耳を枕からよけるようにした。台所のもの音をきいていたいのだった。
 台所で、いま何が、どういう順序で(a)支度されているか、佐吉はその音を追っていたい。台所と佐吉の病床とは障子一枚なのだから、きき耳たてるほどにしなくても、音はみな通ってくる。けれどもそこで仕事をしているのがあき一人きりのときは、聞く気で聞いていなければ、佐吉の耳は外されてしまう。あきはもともとから静かな台所をする女だが、この頃はことに静かで、ほんとに小さい音しかたてない。いまも手伝いの初子(はつこ)を使いに出した様子だから、あき一人である。女房のたてる静かな音を追っていると、佐吉は自分が台所へ出て仕事をしているような気持(きもち)になれる。すると慰められるのだった。
 痛みや苦しみがあまりない、ぶらぶら病気を病んでいれば、実際手持ぶさたなのだ。だから、身は横にしていても、気持がそれからそれへと働いていけばうれしいのである。こんなに寝込んでしまうつい一ヵ月前までは、ずっと自分が主人でやってきた、手慣れた台所仕事なのだ。目に見ずとも音を聞いているだけで、何がどう料(りょう)られて(※2)いくか、手に取るようにわかるし、わかるということはつまり、自分が本当に庖丁(ほうちょう)をとり、さい箸を持って働いているに等しいのだった。週刊誌もくたびれるし、ラジオも自分の好みのものをいつも必ず放送しているわけではないし、なによりもいちばん①病む心憂(う)さの晴れるのは、台所の音をきくことだった。
 (X)しゃあっ、と水の音がしだした。いつも水はいきなり出る。水栓をひねる音はきこえないのである。しかし佐吉は、水が出だすと同時に、水栓から引込められるあきの手つきをおもいうかべることができる。そんな手つきなど今迄(まで)に注意しておぼえたことはないのだけど、しょっちゅう見て目の中に入っていたのかとおもう。あきは中指と親指だけをかけ、あとの三本は(b)ガンコなように結んで、水栓を扱うくせがある。
 水栓はみんな開けていず、半開だろうとおもう。そういう水音だ。受けているのはいつも使っている洗桶(あらいおけ)。最初に水をはじいた音が、ステンレスの洗桶以外のものではなかった。水はまだ出しつづけになっている。きっと桶いっぱいに汲(く)む気だろう。水の音だけがしていて、あきからは何の音もたってこない。が、佐吉には見当がついている。なにか葉のものの下ごしらえーーみつばとかほうれんそう、京菜といった葉ものの、枯れやいたみを丹念にとりのける仕事をしているにちがいない。その仕事は、障子の仕切りを越して聞こえてくるほどの音は立てないから、あきから何のもの音もきこえてこないのだ。葉ものごしらえをしているとすれば、もうじき水は止められる筈(はず)だ。なぜなら葉ものの洗いは桶いっぱいに張った水へ、先(ま)ずずっぷりと、暫時つけておいてからなのだ。浸しておくあいだには、呼吸を十も数えるほどでいいのだが、その僅かのひまも水の出しっぱなしはしないこと、というのが佐吉のやりかたで、佐吉は自分の下働きをしてくれるひと誰でもに、その方式をかたくまもらせていた。無論あきがその手順を崩したことはないし、決して無駄水を流すような未熟なまねはしたことがなかった。だから、桶はもうじきいっぱいになるし、そこで水音がとまれば、あきが葉ものごしらえにかかっている、という見当づけは多分あたるのだがーー(Y)やはり水はとめられた。あきは棚のほうへ移ってなにかしている気配で、やがてまた流し元へもどると、今度は水栓全開の流れ水にして、菜を洗いあげている。佐吉はその水音で、それはみつばでなく京菜でなく、ほうれんそうであり、分量は小束が一把(わ)でなく、二把でだとはかって、ほっとする安らぎと疲れを感じる。
 「きょうはどこだっけな?」
 「小此木(おこのぎ)さん三人の、小部屋のほうは塚本(つかもと)さんだけど。」
 「気をつけろよ。小此木さんはちょっぴり文句屋だ。」
 「ええーーそりゃそうと、あなた気がつきませんか?うちの初子、塚本さんとこの上田(うえだ)さんに気があるらしいんだけど、あたしはどうも上田さんてひと、(c)虫が好かなくてねぇ。
 「うむ。でもまぁ、初子が虫が好くのなら仕方もないしな。どうとかあったっていうのか?」
 「いえいえ、そんなのじゃない。まだ、初子の気が浮いてるようだ、というだけの私のカンなのよ。形になんかなってるものではないとおもうわ。」
  (中略)
 佐吉の病気は、去年の秋からだ。秋はやくに風邪をひいた。売薬一瓶を何錠かあましてなおったが、あとにへんな疲労感があってとれなかった。本病の風邪はさしたことがなくて、病みづかれのほうがしつこく停滞し、けだるがった。根気が減り、顔色が沈んでしまい、食事がすすまず、痩せた。夏の暑さまけを持ち越しているのだ、と自分ではいっていた。ちょうど店の忙しくなる時季だったから、休んでもいられず、市場へは毎日買出しにいった。こたえるらしかった。仲間が、ついでに仕入れしてきてやる、といったが佐吉はでかけた。その痩(やせ)我慢はたたったとおもう。正月の小豆がゆ(※3)から床についた。その時やっと医者へいった。医者は胃だと診断した。食事の制限が命じられ、東大あたりでよく検査してもらえといわれた。
 なか川、という小さい料理屋を、あきと初子を助手に、やっていた。姓からとった屋号だった。客席は八畳と四畳半の二(ふ)た間。五人、詰めて六人しか客はとれないが、それで丁度いいのだった。戦後すぐに建った、バラック住宅(※4)のひどいものなのだが、安く買って安い手入れをして、体裁よく住み、都合よくした。だから家のまん中の床をおとして台所にし、台所の両側へ茶の間と奥の四畳半を一列におき、廊下をはさんで八畳よはばかり(※5)という間取りである。まわりは中小のメリヤス(※6)や木綿品の問屋が多く、少しはなれたところにはいい料亭も並んでいるが、なか川は重宝がられている。けちなうちだが、家より佐吉の味のほうがずっと上なので、そこが気に入られていた。佐吉は承知していて、どの客へも自分の神経を使った料理を出した。そして、病んでつくづく思うのは、自分は食べものをこしらえる他には用のない男で、それをしている限りは手持ちぶさたはなかったし、慰められていた、ということだった。
(幸田文(こうだあや)『台所のおと』による。設問の都合上、一部改変してある。)

(注)※1 寝勝手…寝ている向き。寝方。
  ※2 料られていく…料理されていく。
  ※3 小豆がゆ…小正月である一月十五日に小豆の入ったかゆを食べて疫病を払うという風習がある。
  ※4 バラック住宅…急造の粗末な建物。
  ※5 はばかり…便所のこと。
  ※6 メリヤス…布地の一種。



1-1:二重傍線部aの漢字の読みをひらがなで書き、bのカタカナは漢字に直しなさい。
(a)支度  (b)ガンコ



解答 : (a)したく (b)頑固

解説 : (a) したく
支度…予定されている物事を実行するのに必要なものをそろえること。準備。用意。外出するために身なりを整えること。身じたく。

(b) 頑固
頑固…かたくなで、なかなか自分の態度や考えを改めようとしないこと。取りついて容易に離れようとしないこと。




1-2:二重傍線部c「虫が好かなくて」の本文中での意味として最も適当なものを、次のア~エのうち一つ選び記号で答えなさい。
(ア) なんとなく好感がもてない。
(イ) どことなく風情がない。
(ウ) まったく魅力を感じない。
(エ) それほど嫌悪感がない。



解答 : (ア)

解説 : 「虫が好かない」…どことなくいやな感じがして気にいらない。どうも好感がもてない。
この表現の意味より、選択肢アが適当である。




1-3:傍線部①「病む心憂さの晴れるのは、台所の音をきくことだった」とあるが、それはなぜか。それを説明した次の文の空欄[ ⅰ ]、[ ⅱ ]に当てはまる語句を、本文中から抜き出しなさい。ただし、ⅰは十五字以上二十字以内で、ⅱは四字で抜き出すこと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
台所の音を聞いていると[ ⅰ ]になり、[ ⅱ ]から。



[ ⅰ ]
自分が台所へ出て仕事をしているような気持

[ ⅱ ]
うれしい

解説 : この本文のうち、佐吉が台所の音を聞くことについて書かれているのは、第1~3段落までである。第4段落以降は、佐吉が今聞いている音や、そこから思い浮かべたあきの台所仕事の様子が描かれている。よって、第3段落までに、答えが書かれていると推測できる。

[ ⅰ ]
2段落目の最後の部分に「女房のたてる静かな音を追っていると、佐吉は自分が台所へ出て仕事をしているような気持になれる。」とある。よって、佐吉は台所の音を聞いていると「自分が台所へ出て仕事をしているような気持」になるとわかる。

[ ⅱ ]
[ ⅰ ]と同じ文に「慰められる」という言葉があるが、これは四字ではないので、これと似た表現を本文から探す必要がある。第3段落の初めの部分に、「」




1-4:本文から読み取れる佐吉の人物像の説明として最も適当なものを、次のア~エのうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 料理を生きがいとし、ひたむきに仕事と向き合う人物。
(イ) 妻に台所仕事を一任できず、事細かに口出しする人物。
(ウ) 見た目の美しさを重視し、料理への手間を惜しまない人物。
(エ) 料亭よりも人気のある料理屋を営もうとする野心的な人物。



解答 : (ア)

解説 : 本文から読み取れる佐吉の人物像として適当なのは、選択肢アである。

選択肢イについて、「妻に台所仕事を一任できず」という部分が誤りである。選択肢ウは、「見た目の美しさを重視」という部分が誤りである。選択肢エに関しては、「料亭よりも人気のある料理屋」といった記述はなく、「野心的」な描写も書かれていないので不適当である。




1-5:この文章を読んだAさんは、本文中の波線部X・Yの「水」の描写による効果について【ノート】にまとめた。次の【ノート】の空欄[1]、[2]に入る説明として最も適当なものを、後のア~カのうちからそれぞれ一つずつ選び記号で答えなさい。



(ア) 勢いよく出る水の音で、病気のために台所に立てない佐吉に代わって、店を切り盛りしようと意気込むあきの姿を象徴的に表現している。
(イ) 台所の音を聞いていたい佐吉の心情を描いた場面から、佐吉が台所の音を聞いて料理の工程を把握していく場面へと転換させている。
(ウ) 病床から起き上がれず不安を抱く佐吉とは対照的に、台所で手際よく働くあきの躍動感あふれる様子を印象付けている。
(エ) 台所に立たずとも、音だけを聞いて、あきが何を料理しているかを佐吉が正確に把握できていることを強調している。
(オ) あきが佐吉の教えどおりに料理をしていることを表し、従順なあきに気をよくしている佐吉の様子を際立たせている。
(カ) 台所から聞こえる音を中断させることで緊張感を生じさせ、この後のあきと佐吉の関係性の変化を暗に示そうとしている。



解答 : [1] (イ)  [2] (エ)

解説 : ・[1]について。
波線部Xは第4段落の最初の文であり、ここまでの段落には主に、あきの台所仕事を佐吉が聞く理由が書かれている。そして、波線部Xからの第4段落からは、台所の音からあきの具体的な行動を佐吉が思い浮かべる流れに変わっている。この流れの変化を説明したものとして適当なのは、選択肢(イ)である。

・[2]について。
波線部Yは、5段落目の後半の部分に見つけられる。この直前で、佐吉が「見当づけ」しており、それが見事当たって「水がとめられた」という部分である。よって、あきの台所での様子を見ずとも、音だけで佐吉があきの様子を把握することができることを描写している。したがって、選択肢(エ)が適当である。




1-6:次の【資料】は本文の作者・幸田文「私の音」の一節で、台所について作者の父が語っていたことを回想している場面のである。また、【生徒の会話】は、本文と【資料】を読んだ生徒たちが話し合っている場面である。これらを踏まえて、後の問いに答えなさい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【資料】
 台所には是非とも音が生じる。その音を怖(お)じたり(※)恥じたりしないようになれ。厨房の音を美しくしろ、台所の音をかわいがれ。台所はたべるうまさをつくるところだ、うまい音があっていいはずじゃないか、とそういった。
(幸田文「私の音」による。)

(注) ※ 怖じたり…びくびくおそれたり。こわがったり。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【生徒の会話】
生徒A 小説を読んで、料理をする様子が細かく描写されているのがとても印象に残ったよ。
生徒B 【資料】を読むと、作者の父の考えが本文に反映されていることがわかるね。
生徒C 不必要に水を出し続けることを、佐吉が「[ Ⅰ ]」と批判的にとらえていることにもそれが表れているよ。
生徒B そうだね。佐吉の料理に対する考え方やあきの台所仕事には、作者の父が求めている美しい音が象徴されているように感じられるね。
生徒A なるほど。それってつまり、[ Ⅱ ]ということなんだね。
生徒C そうだろうね。あきが「静かな台所をする女」として描かれているのも、作者の父の考えと重なるところがあるよ。


空欄[ Ⅰ ]に当てはまる語句を小説の本文中から五字で抜き出しなさい。



解答 : 未熟なまね

解説 : [ Ⅰ ]には、佐吉が不必要に水を出し続けることをどう思っているかが当てはまる。
水を出し続けることに対する佐吉の考えは、第5段落の真ん中あたりに書かれている。「決して無駄水を流すような未熟なまねはしたことがなかった。」と書かれているので、佐吉は水を出し続けて無駄にすることを未熟だと思っていると読み取れる。
よって、「未熟なまね」が適当である。




空欄[ Ⅱ ]に当てはまる発言として最も適当なものを、次のア~エのうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 愛情をかけて料理をすれば、その音が「たべるうまさ」を引き出す
(イ) 台所の音を怖じたり恥じたりせずに料理すれば、音がしなくなる
(ウ) 料理の工程を一つ一つ丁寧に行うことが、「うまい音」につながる
(エ) 台所仕事を一生懸命に行えば、台所の音をかわいがることができる



解答 : (ウ)

解説 : [ Ⅱ ]の直前には「それってつまり」とあるので、[ Ⅱ ]は生徒Aが生徒Bの発言を言い換えてまとめた言葉が当てはまると考えられる。そこで生徒Bの発言を見ると、「本文に書かれている佐吉の料理に対する考え方やあきの台所仕事には、作者の父が求めている美しい音が象徴されている」といった内容である。

〇【資料】から読み取れる筆者の父の主張
 台所の音を美しく、うまい音になるようにかわいがるべきだ。そこからうまいものがつくられる。
〇本文から読み取れる、料理に対する佐吉の考え方や、考えが読み取れる行動
・台所の音を聞くこと…慰められる。病む心憂さが晴れる。(第2段落)
・僅かのひまも水の出しっぱなしはしないこと、というのが佐吉のやりかた(第5段落)
・どの客へも自分の神経を使った料理を出した(最後の段落)

佐吉の考えや行動と筆者の父の主張とに通じるものは、台所での作業を無駄なく丁寧にすることから「うまい音」がうまれ、それが食べるうまさにも繋がるという思いである。

したがって、選択肢ウが適当である。

他の選択肢についても整理する。
選択肢アについて、「愛情」という言葉や、そのような描写はないので不適当。選択肢イは、佐吉も筆者の父も台所の音を大事にしているのであって、「音がしなくなる」ことは求めていない。選択肢エに関しては、「台所の音をかわいがることができる」という部分に注目する。「台所の音をかわいがる」ことは間違っていないが、そこで終わりでなく、その先にうまい音や料理があることまで触れたい。








■大問2



問題文:次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。


※ルビがふってあった漢字は、漢字の後ろに括弧に入れて読みを書いています。
※波線部分も、同じように傍線で示しています。

【見たい展開だけを見たい、心を揺さぶられたくない】

 映像視聴後の快適主義が極まっていくと、ラノベ(※1)同様「自分が想定した展開を見たい」という視聴者のワガママが顔を出し始める。その理由としてよく聞くのが、「気持ちを乱されたくない」だ。[1]
 ヒアリングしたある女性(30代)は、ドラマを観る場合はあらすじを先に最後まで読む。先々に出てくる登場人物の顔と名前とプロフィールもすべて頭に入れておく。その上で第1話から見始める。[2]
 「ミステリーもので、『この人、殺されるのかな? 助かるのかな?』ってドキドキするのが苦手なんです。突然殺されてびっくりさせられるのも嫌。込み入った話についていけなくなって『え、これどういう意味だっけ?』ってなるのも気持ち悪いから避けたい。娯楽のために観てるのに、それだと全然楽しめないじゃないですか」
 彼女にとっては、「めくるめく展開」や「予想もしないどんでん返し」や「(ⅰ)複雑で込み入った物語」はすべて不快。[3]
 彼女にとって好ましい物語とは、「思っていた通りになる」物語である。である以上、「思っていた通りの話はつまらないですよね」とか「思っていたのと違う展開になるからおもしろいんじゃないですか?」と言ったところで、説得することはできない。ジェットコースターが(ⅱ)苦手な人に「あんなに楽しいのに、なんで?」と聞くのに等しい。愚問である。[4]
 ある大学生は、「高校生の妹が『心が揺さぶられるのが嫌だから、泣く映画かどうか先に知ってから観たい』と言っていて驚いた」と報告してくれた。これも、「気持ちを乱されたくない」の一形態だ。

  【[  X  ]】
 「心が揺さぶられる」状態を避けるメンタリティ(※2)のバリエーション(※3)として、昨今は「①共感性羞恥」がポピュラーな感覚として共感者を増やしつつある。他人が失敗したり、恥をかいたりしているのを見ると、それがフィクションの中の出来事であっても自分まで恥ずかしい気持ちになってしまうというものだ。共感性羞恥を強く感じる人は、TV番組のドッキリ企画すら見ることができない。楽しめないのだ。ある種の人々が映像作品に求める「快適主義」に近いものがある。
 そもそも、映像作品の良し悪(あ)しを判断する基準が「登場人物に共感できるかどうか」に寄りすぎている昨今の傾向も、気にかかる。たしかに、共感できるかどうかは物語の魅力のひとつではある。[ Ⅰ ]一方で、(a)到底共感できない人物の行動を目(ま)の当たりにすることで、人間という存在がいかに多様で複雑であるかを、畏怖や敬意や(b)驚嘆とともに理解する。これも鑑賞行為の豊かさを構成する、欠くべからざる要素だろう。
 この世界には自分とまったく考えの異なる「他者」がいて、彼らは自分とまったく異なる行動原理に従って生きている。その価値観に同意する必要はないが、その価値観の存在は認めなければならないし、尊重しなければならない。尊重には「向き合い、理解する」義務も含まれる。[ Ⅱ ]、物語や言説の価値を共感だけに求める者は、「共感できない価値観に向き合い、理解に努める」ことに慣れていない。それには大きなエネルギーを要する上、コスパ(※4)が悪い(快適ではない)からだ。
 結果、自分の考えを補強してくれる物語や言説だけを求め、ただただそれを強化することになる。その先にあるのは、他者視点の圧倒的な欠如だ。他者に対する想像力の喪失だ。彼らは「自分とは違う感じ方をする人間がこの世にいる」というきわめて当たり前の事実を、なぜか忘れてしまう。もしくは、そういう人間を(c)安直②「敵認定」する。
 やや特殊ではあるが、こんなケースを紹介しておこう。とある脚本家ワークショップでの話。ある既存の小説を映像用のシナリオに脚色するという課題で、脚本家志望の20代男性が担当講師に言った。
③見ていてつらくなるシーンは、カットしたいと思います
驚いた講師が理由を聞くと「観ている人を嫌な気分にさせたくないじゃないですか」との答え。
 彼はまた、オリジナルシナリオを書く課題でこう言い放った。
 「男は書けません。女の子だけが出てくるシナリオを書きます」
 (d)仰天した講師がまたもその理由を聞くと、「かわいい女の子にしか興味ないので」。
 彼を「変だ」というのは簡単だが、世の中には、ただただ観客の快適、あるいは快楽を満たすことに全精力を注いだ商業作品が山ほどあるのも事実だ。その事実を前にして、彼をどう責めることができようか。
 そしてこの話でもっとも驚くべきなのは、この彼が「自分がシナリオを書く作品の観客は、自分と完全に同じ感性の持ち主である」と、露ほども疑っていないということである。
(稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』による。設問の都合上、一部改変してある。)

(注) ※1 ラノベ…ライトノベルの略語。娯楽小説のジャンルの一つ。
   ※2 メンタリティ…心。精神の状態。
   ※3 バリエーション…ここでは、変種。変形。
   ※4 コスパ…コストパフォーマンスの略語。支出した費用とそれによって得られたものとの割合。


2-1:二重傍線部ⅰ「複雑で」、ⅱ「苦手な」は同じ品詞である。ⅰ・ⅱと同じ品詞が用いられている文を、次のア~エのうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 雨上がりに大きな虹が出た。
(イ) 図書館では静かにしましょう。
(ウ) 校庭の花が美しく咲いている。
(エ) 最後は皆で思いきり笑いたい。



解答 : (イ)

解説 : 「複雑で」と「苦手な」はどちらも形容動詞である。
形容動詞は物事の性質や状態を表す単語であり、語尾が「…だ」という形になることが特徴である。



選択肢のうち、形容動詞が含まれているのは選択肢イである。選択肢イの文章のうち、「静かに」という言葉が形容動詞である。

他の選択肢についても整理する。
選択肢アは「大きな」の部分の間違いに注意する。「大きな」は、終止形が「大きい」という形容詞である。選択肢ウも「美しく」という部分を見ると、これは形容詞だとわかる。選択肢エについては、「思いきり」という言葉に気を付ける。これは動作・作用の状態を表す副詞であり、「笑いたい」という動詞を修飾している。




2-2:空欄[ Ⅰ ]、[ Ⅱ ]には同じ接続詞が入る。最も適当なものを、次のア~エのうちから一つ選び記号で答えなさい。

ア あるいは  イ しかし  ウ たとえば  エ つまり



解答 : (イ)

解説 : 接続詞は前後の文節や文をつなぐ単語であり、今回のような接続詞を選ぶ問題では、前後の文の流れを読み取ることが重要である。


まずは、それぞれの選択肢の接続詞について整理する。
・あるいは…前後の事柄を比べたり、どちらかを選んだりする働きがある。
・しかし…前の事柄に対して順当でない事柄をあとに続ける。
・たとえば…前に述べたことについて、具体的な例を挙げて説明する
ときに使う。
・つまり…前の事柄を後の事柄で説明したり,補ったりする。
空欄[ Ⅰ ]は、直後に「一方で」とあるので、逆接の接続詞が適当だと考えられる。
また空欄[ Ⅱ ]については、直前の文が「尊重には…義務も含まれる。」というもので、[ Ⅱ ]の文は「物語や言説の価値を共感だけに求める者は、…慣れていない。」というものである。




2-3次は波線部a~dの語を用いた短文である。本文中の意味とは異なる意味で用いられているものを、次のア~エのうちから一つ選び記号で答えなさい。
(ア) 波線部a「到底」……彼のレベルには到底追いつけない。
(イ) 波線部b「驚嘆」……私は彼女の勇気に驚嘆した。
(ウ) 波線部c「安直」……すぐそこに安直な食堂がある。
(エ) 波線部d「仰天」……彼はその知らせに仰天した。



解答 : (ウ)

解説 : まずは、それぞれの言葉の意味と、本文での使われ方を整理する。
・波線部a 到底…どうやってみても。どうしても。つまるところ。つまり。
 →本文では「到底共感できない」という文章なので、ここでの意味は「どうやっても。どうしても。」だとわかる。
・波線部b 驚嘆… 驚き感心すること。また、驚き嘆くこと。びっくりすること。  →本文では、「畏怖や敬意や驚嘆とともに理解する」という文なので、「驚き感心すること。」といいう意味が適当である。 ・波線部c 安直…価格が安いこと。簡単で気軽なこと。いい加減なこと。
 →本文では「安直に敵認定する」という文章なので、「簡単で気軽なこと。」の意味で使われていると考えられる。
・波線部d 仰天…天を仰いで嘆息すること。天を仰いで大いに笑うこと。非常に驚くこと。
 →本文の「仰天した講師が…」という部分なので、「非常に驚くこと。」という意味で用いられているとわかる。

選択肢ア~エのうち、本文と異なる意味で用いられているのは、選択肢ウである。
選択肢ウでの「安直」は「価格が安いこと。」の意味だと考えられる。



2-4:次の一文は本文中の[1]~[4]のどこに入るか。最も適当な箇所を一つ選び数字で答えなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ゆえに避けたいのだ。



解答 : [3]

解説 : まずは、問題の一文について理解を深める。
文頭の「ゆえに」というのは、前に述べたことを理由として、あとに結果が導かれることを表す接続詞である。つまり、この一文の前に、「避けたい」ことの理由が書かれている必要がある。
したがって、[3]の部分に入れるのが適当である。

[3]の前の文で、「ヒアリングしたある女性(30代)」にとっては、前述の物語は「すべて不快。」と書かれている。よって、不快だという理由で避けたい、という自然な流れができる。




2-5:傍線部①「共感性羞恥」とあるが、本文の説明を踏まえた「共感性羞恥」の例として適当なものを、次の(ア)~(オ)のうちからすべて選び記号で答えなさい。

(ア) 友人が部活動の大会で優勝するのを目の当たりにし、負けてはいられないと思った。
(イ) 一緒に映画を観た友人が感動して泣いているのを見て、なぜだかわからないが自分まで涙が出た。
(ウ) ドラマで主人公が恥ずかしがりながらセリフを言う場面があり、いたたまれず見るのをやめた。
(エ) コンビニのレジで財布を忘れて慌てている人を見て、思わず目を背けてしまった。
(オ) 信号無視をして注意されている人を見て、自分は絶対にしないでおこうと誓った。



解答 : (ウ)・(エ)

解説 : 「共感性羞恥」については、本文の第7段落で触れられている。
「他人が失敗したり、恥をかいたりしているのを見ると、それがフィクションの中の出来事であっても自分まで恥ずかしい気持ちになってしまうというもの」と定義されている。
この説明に合致するのは、選択肢ウとエである。

他の選択肢についても整理する。
「共感性羞恥」のポイントは、自分の身に起きた出来事ではないのに、他人の恥が自分の恥のように感じられるという点である。選択肢アの「負けてはいられない」という気持ち、選択肢イの感動して泣いている友人を見て「自分まで涙が出た」気持ち、選択肢オの「自分はしないでおこう」という気持ちは、どれも「恥ずかしい気持ち」とは異なるので誤りである。




2-6:傍線部③「見ていてつらくなるシーンは、カットしたいと思います」とあるが、この発言をした脚本家志望の男性の意図として最も適当なものを、次のア~エのうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 自分の作品を観てくれる人たちの快適さや快楽さを満たすために、自分の感性に従い原作を脚色したいという思い。
(イ) 自分の価値観に共感できない人のために、自分の価値観を改めた上で、原作を脚色するのは仕方がないという思い。
(ウ) 自分とは違う感じ方をする人間がいるという事実を受け入れ、その人たちにも自分の作品を届けたいという思い。
(エ) 自分の作品を観る人に嫌悪感を与えることに責任を取れないため、与えられた課題には取り組みたくないという思い。



解答 : (ア)

解説 : 脚本家志望の男性の「見ていてつらくなるシーンは、カットしたいと思います」という発言の理由は、傍線部③の次の文で書かれている。「観ている人を嫌な気分にさせたくないじゃないですか」という部分である。

よってこの男性は、自分の作品で不快になる人が出ないためには、原作や作品を脚色したり、作りかえたりする方がよいという考えである。加えて、「自分がシナリオを書く作品の観客は、自分と完全に同じ感性の持ち主である」という部分も重要である。
したがって、選択肢アが適当である。




2-7:空欄【[ X ]】にはそれ以降の文章の内容を踏まえた小見出しが入る。その小見出しとして最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 商業至上主義と自主性の欠如
(イ) 快適至上主義と自主性の欠如
(ウ) 行動至上主義と他者性の欠如
(エ) 共感至上主義と他者性の欠如



解答 : (エ)

解説 : まず、全ての選択肢に共通する「至上主義」とは、あるものについてそれが最上のものだ、それに勝るものはない、とする立場である。
【[ X ]】以降の段落で書かれている内容は、映像作品を評価する基準に共感性が大きく関わっていることである。そして、この共感性の先には他者視点の欠如や、他者に対する想像力の喪失があると述べられている。
よって、選択肢エが適当である。




2-8:本文の内容に合うものとして最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 筆者は、人々が気持ちを乱されたくないという思いを優先するあまり、快適主義に陥ってしまうことを心配している。
(イ) 筆者は、娯楽のために自分の見たいものだけを見る人に対して、他の作品の良さを説明する必要はないと考えている。
(ウ) 筆者は、登場人物に共感できるかどうかで映像作品が評価されている最近の風潮について違和感を抱いている。
(エ) 筆者は、多くの脚本家が脚本家自身と同じ感性の人だけを対象とした商業作品を大量に作っている現状を憂えている。



解答 : (ウ)

解説 : 本文の内容に合うものは、選択肢ウである。

他の選択肢についても整理する。
選択肢アについて、筆者が心配しているのは快楽主義によって作品を判断することであって、快楽主義に陥ることではない。選択肢イは、「他の作品の良さを説明する必要」の有無については、本文中で触れられていない。選択肢エに関して、「脚本家自身と同じ感性の人だけを対象とした商業作品」を作っている「現状を憂えている」という部分が誤りである。筆者が憂えているのは、自分の快楽を優先することで他者の快楽や価値観を見落としてしまう、現代の人々の状況である。




2-9:傍線部②「『敵認定』する」とあるが、本文中の「彼ら」はなぜそうするのか。「自分」、「他者」、「価値観」の三つの語を用いて、「……から。」に続く形で、三十五字以上五十字以内で答えなさい。



解答 : 解答無し








■大問3



次の文章は、『竹取物語』の一場面である。これを読んで後の問いに答えなさい。







3-1:波線部ⅰ「にはかに」を、現代仮名遣いに直し、すべてひらがなで書きなさい。



解答 : にわかに

解説 : 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すときのルールを整理する。



よって、「にはかに」は「にわかに」と直すのが正しい。




3-2:二重傍線部a「日を定めて」、b「逃げて」の動作の主体の組み合わせとして最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) a 帝 b かぐや姫
(イ) a 帝 b 帝
(ウ) a かぐや姫 b かぐや姫
(エ) a かぐや姫 b 帝



解答 : (ア)

解説 : 二重傍線部aについて。
「日を定めて」の前の部分で登場しているのは帝のみであり、「日を決めて、狩りにご出発になり…」と後の文脈とも合うので、これは帝が動作の主体だとわかる。

二重傍線部bについて。
「逃げて」は、帝がかぐや姫を見て近寄ったあとの行動である。帝は近づいているので、近づかれた人が「逃げようと」するのが自然であり、この動作の主体はかぐや姫だと読み取れる。

したがって、選択肢アが適当である。




3-3:傍線部①「かぐや姫」を別の表現で表した部分を、本文中から九字で抜き出しなさい。



解答 : きよらにてゐたる人

解説 : [1]の2行目の文の、最後に書かれている「きよらにてゐたる人」という部分が適当である。
これは帝がかぐや姫の家に行ったときに、姫の姿を見て抱いた印象である。




3-4:次の表は、本文の[2]以降の内容をまとめたものである。空欄[ A ]、[ B ]に当てはまる語句を本文中から抜き出しなさい。



解答 : [ A ] 影
[ B ] ただ人

解説 : [ A ]について。
[ A ]は、[2]の場面で、帝が見た状況についてまとめた文章の一部である。かぐや姫が見えなくなった部分は、[2]の2行目の部分なので、[ A ]には「影」が適当である。

[ B ]について。
[ B ]は[2]の場面でかぐや姫が見えなくなってしまい、それを受けて帝がどう思ったかまとめた部分である。空欄[ B ]の直前の「本当に」と直後の「ではないのだなあ。」という文より、[2]の3行目の部分を参考にしたらよいと考えられる。したがって、[ B ]には「普通の人」や「ただ人」といった答えが当てはまる。




3-5:本文の内容と一致するものとして最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 帝は、「御狩に出で給ふ」ふりをして、かぐや姫の家に行ったが、美しいと評判のその人に会えなかったので和歌を詠んだ。
(イ) 帝は、かぐや姫が「面をふたぎて」逃げようとするので、美しいと噂のその顔を一度だけでも見てみたいと思い、和歌を詠んだ。
(ウ) 帝は、かぐや姫に「なほゐておはしまさむ」と強く命令したが、何度も断られたため恨みを込めて和歌を詠んだ。
(エ) 帝は、かぐや姫を連れて帰ることができなかったが、かぐや姫のことを「なほめでたく」思う気持ちがあふれ、和歌を詠んだ。



解答 : (エ)

解説 : 選択肢の最後が、どれも「和歌を詠んだ。」となっていることに着目する。ここから、帝の和歌や、和歌を詠むまでの出来事を参考にすればよいと考えられる。

帝の和歌の内容は、「帰るのがなんともつらく思えて、後ろを振り向いて止まってしまう。私の命令に従わないかぐや姫、あなたのせいで。」と書かれている。また、この和歌を詠む前の場面で帝は、かぐや姫を連れ帰ろうとしたところ姿が見えなくなってしまい、連れて行かないと約束したら姿を見せてくれたが、その姿を見てやはりしばらしいと思っている。また、その思いを「せきとめがたし(とてもとめることができない)。」と言っている。








■大問4



問題文:次の文章を読んで後の問いに答えなさい。





4-1:傍線部①「行役して汲道を失ひ」とあるが、このように書き下すことができる返り点のつけ方として正しいものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。





解答 : (ア)

解説 : 「行役して汲道を失ひ」という書き下し文にするための返り点は、選択肢アが適当である。

それぞれの選択肢について整理する。(※図10)




4-2:傍線部②「令して曰く」の内容を抜き出し、始めと終わりの三字を答えなさい。



解答 : 始め  前に大
終わり  くべし


解説 : 傍線部②の「令して曰く」は、「命令して言うには」という意味である。
よって、魏の武帝(本文中の魏武)が、三軍に対して命令した内容を抜き出せばよいとわかる。

したがって、「曰く」の直後の「前に」というところから始まっていると読み取れる。終わりの部分については、3行目に「士卒之を聞き」とあるので、この直前までが命令の内容だとわかる。よって、終わりの三字は「くべし」と求められる。




4-3:本文の内容からわかることの説明として最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 武帝の率いる兵士たちは、大雨のため道に迷っていた。
(イ) 兵士たちは武帝の言葉により梅の味を連想した。
(ウ) つばを出すことを命令された兵士たちは、知恵をしぼった。
(エ) 武帝はほうびとして兵士たちに梅の果実を支給した。



解答 : (イ)

解説 : 本文の内容に合っているものは選択肢イである。
武帝の「この先に大きな梅林がある。実がたわわになっていて甘酸っぱい。それによって飢えをしのぎなさい。」という命令で、兵士たちは梅を想像して唾を出したということである。

他の選択肢についても整理する。
選択肢アは、「大雨のため道に迷っていた」という部分が間違いである。選択肢ウについては全体的に誤っていて、武帝は兵士たちにつばを出すようには命令していないし、兵士たちは知恵を絞ってもいない。選択肢エに関しては、梅は水に飢えていた兵士たちを前進させるために武帝が話したことであり、実際に支給したとは書かれていない。








■大問5



問題文:Aさんたちは、総合的な学習の時間に、【社会人基礎力の資料】をもとにグループで話し合っている。次の【社会人基礎力の資料】と【話し合いの一部】を読んで後の問いに答えなさい。




【話し合いの一部】 Aさん 前回、「社会人基礎力」について学びました。今、社会は目まぐるしく変化し、年々そのスピードは速くなっているとされています。①例えば、みなさんは新しい情報がどんどん入ってきて、手に入れた情報がすぐに古いものになってしまっているよ感じた経験はありませんか。
Bさん はい、あります。最近SNSで見た情報を友達に話したら「その情報はもう古いよ」と言われました。常に新しい情報を手に入れないと、置いていかれる気がします。
Aさん そうですよね。時代に取り残されず、自分らしく生きるために、今日は社会人基礎力の3つの要素について、考えたことや感じたことを話し合ってみましょう。
Cさん 私は、「前に踏み出す力」が気になります。普段の私は失敗するのが怖くて、なかなか実行に移せず、受け身になってしまうことが多いです。どのように克服していいのかがわかりません。
Dさん 私も以前まではCさんと同じような悩みを抱えていました。でも、最近は「失敗は成功のもと」と考えるようにしています。たとえ失敗してもそこから得たことを次にいかしていけばいいんだと考えるようにしています。Cさんもそう考えると気が楽になって、実行に移しやすくなるのではないでしょうか。
Aさん ほかにも、意見がある人はいますか。
Bさん やってみると案外うまくいくということもあるので、「迷ったらやってみる」というのはどうですか。私も消極的になりやすいのですが、思いきって体育祭実行委員に挑戦しました。いくつか失敗もしましたが、みんなに楽しんでもらえる体育祭にでき、さまざまな課題に対応することで私自身も成長できました。やる前は不安でしたが、先生や地域の方からも「大成功だったね」という言葉を②もらいました。
Cさん なるほど。みんなも同じ悩みを持っていたことを知って安心しました。そして、考え方次第で自分の気持ちや行動は変わるのだと思いました。アドバイスを参考に、少しずつ「前に踏み出す力」を身に付けていきたいと思います。
Aさん Cさんの言うとおりですね。すぐに身に付くものではないと思うので、日ごろから意識することが大切ですね。では、次に他の2つの要素についても考えてみましょう。


5-1:傍線部①「例えば、みなさんは新しい情報がどんどん入ってきて、手に入れた情報がすぐに古いものになってしまっていると感じた経験はありませんか。」という発言について説明したものとして最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 具体的な体験例を示すことで、話題の捉え方を共有しようとしている。
(イ) 具体的な体験例を示すことで、話し合いの目的を確認している。
(ウ) 具体的な状況を提示することで、イメージをもたせやすくしている。
(エ) 具体的な状況を提示することで、原因を突き止めようとしている。



解答 : (ウ)

解説 : Aさんが言っている「新しい情報がどんどん入ってきて、手に入れた情報がすぐに古いものになってしまっていると感じた経験」というのは、具体的な状況だと考えられる。具体的な体験例は、次にBさんが話している内容である。
また、具体的な状況を説明してから話題を振ることで、他の人が経験を思い出しやすいように、「イメージをもたせやすく」していると考えられる。
したがって、選択肢ウが適当である。




5-2:傍線部②「もらい」を「~ました」につながるように謙譲語に改めなさい。



解答 : いただき ました。

解説 : 謙譲語とは、話し手(書き手)が自分や自分の側の人(身内)の動作などをへりくだる(低める)ことで、話の聞き手(読み手)や話題中の人に敬意を表す言葉である。



よって、「いただきました」や「頂戴しました」といった答えが書けていればよい。




5-3:話し合いを進めるうえで、Aさんはどのような工夫をしたか。最も適当なものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) 全員が話し合いに参加できるよう、一人ひとりに発言を求めた。
(イ) 話題がそれた場合には、話し手の発言をさえぎって元にもどした。
(ウ) 発言に対して、具体化や言い換えを促したりして、内容を深めた。
(エ) 発言を促すために質問したり、話し合いの方向性を決めたりした。



解答 : (エ)

解説 : 話し合いの中でAさんが工夫したこととして適当なものは、選択肢エである。

他の選択肢について整理する。
選択肢アは、「一人ひとりに発言を求めた」という部分が誤りである。選択肢イに関しては全体が誤りで、話題がそれたり話し手の発言をさえぎって元に戻したりはしていない。選択肢ウについては、Aさんが具体化や言い換えはしているが、それを他の人に促してはいない。




5-4:【話し合いの一部】におけるそれぞれの生徒の発言の特徴として適当でないものを、次の(ア)~(エ)のうちから一つ選び記号で答えなさい。

(ア) Bさんは、自らの経験や体験を述べ、感じたことや学んだことを助言しつつ、全員に同意を求めている。
(イ) Cさんは、Aさんの発言を受け、資料から気になる力を選び、今抱えている悩みを打ち明けている。
(ウ) Cさんは、他者の意見を受け入れ、考えたことを自分の言葉でまとめている。
(エ) Dさんは、自分と同様の悩みを抱えていたCさんに理解を示すとともに、自身の考え方を提示している。



解答 : (ア)

解説 : 【話し合いの一部】における生徒の発言の特徴として適当でないものは、選択肢アである。
Bさんは、「自らの経験や体験を述べ、感じたことや学んだことを助言」しているが、「全員に同意を求めている」ような発言はしていない。




5-5:あなたの「これから特に伸ばしたい力」について、【社会人基礎力の資料】で示されている「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」から一つ選び、次の〈条件1〉~〈条件4〉に従って文章を書きなさい。

〈条件1〉 二段落構成で、一五〇字以上一八〇字以内の文章とし、題名は書かずに本文から始めること。
〈条件2〉 原稿用紙の適切な使い方に従い、漢字や仮名遣い、句読点や記号などは適切に用いること。
〈条件3〉 第一段落では、三つの力のうちどれを選んだかを明記し、その力を伸ばしたい理由を書くこと。
〈条件4〉 第二段落では、高校生活での場面を想定し、その力をどのように伸ばしたいかを具体的に書くこと。ただし、【話し合いの一部】に出てきた体験談を模倣しないこと。
(なお、どれを選んだかで、採点に差がつくことはない。)



解答 : 解答無し


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